路地奥の数寄屋風町家
京町家改修工事の竣工写真をご紹介させていただきます。
今回も、床を全て解体し、構造材のイガミや沈下を直すところから施工しています。
京町家作事組の内田設計事務所さんと一緒に改修させていただきました。
細長い路地の突き当たりに、少し意匠を凝らした町家が残っていました。小さい町家ですが、大工さんや左官屋さんがいろいろと工夫をされたお住まいです。状態が比較的良好だったので、既存の躯体をそのまま活かして改修しました。写真をご覧いただければ詳しい説明が記載されています。

リビングから水廻り入口です。組子が斜めに入った洗面室入口のガラス障子はお客様が弊社古材倉庫で一目惚れされた建具です。

リビングから和室4.5帖の丸窓を見ています。元々の形をそのままに綺麗に直しました。壁は落ち着いた感じに仕上る中塗仕上です。

玄関も形はそのままで、アルミ製の玄関ドアを撤去して木製建具に取替えました。その上の照明器具はこちらで元々使われていたものです。真鍮部が折れて壊れていたのですが、電気屋さんに3日間掛けて直してもらいました。

ダイニングからキッチンです。床板は赤松1等材、天井は杉板上小節の大和天井です。床板は柿渋仕上なのでこれから赤味が増し良い風合いに馴染んでくれるのが楽しみです。

こちらも形は既存のままですが、床レベルを調整しているので水平がキレイに出ています。

左:上部はガラス窓で自然光を、下部はキッチン吹抜けとを繋ぎ空気の流れをスムーズにしつつ、連続性のある楽しいスペースです。
右:既存の階段ですが、スベリ止めの溝を新たに突き、最上段には真鍮製のノンスリップを取付け、安全面を優先しながら装飾性も考慮しました。

裏庭の犬走りです。設計仕様では、ただのコンクリート金鏝押えのはずだったのですが、知らない間に左官屋さんが・・・。さりげなさがオシャレです!

敷台は弊社古材倉庫にあるトチノ木を利用しました。土間は洗い出し風仕上です。普段はモルタルで仕上げるのですが、今回は左官屋さんの提案で地盤改良に使うコンクリートミルクを使用しましたので、いつもより柔らかい表情に仕上がりました。

東側2F外壁です。腰はトタン波板が貼られていたので焼き板に貼替え、上部は既存と同じ錆ジュラクです。スダレを掛けると外観もグッと引締まります。

左:キッチンは玄関から勝手口そしてダイニングとかなりスムーズな動線です。以前の低い天井とは違い開放感もあり快適です。
右:こちらは建具の建て合せ、壁の塗り替え以外は全て既存のままです。できるだけ既存の古い趣きある感じを残すようにしました。
路地の前に車が停めにくかったり、材料の運搬に手間はかかりました。でも、通りから少し入ったところに玄関があるので、街中の雑踏をさけ静かな環境で工事をする事ができました。京町家(京町家)をリフォーム・リノベーション・改修するときは、これからもいろんな工夫をしていきたいと思っています。