下地丸窓のある京町家
長い間使われなかったために、傷みが激しくなった京町家。「立て直したほうが安い」とよく言われます。でも、施主さんと一緒になって考え、知恵を出し合えば、素敵に改修する事もできるのです。
できるだけ間取りを活かし、仕上げ材も決して贅沢をしない。。。それでも、今風の建物にはない深い味わいが生まれてきます。今回は、町家を改修して事務所にリフォームされる事になりましたが、全く事務所とは思えない出来上がりになりました。
また、部分的ではありますが、一般社団法人 京町家作事組さんで運営されている「棟梁塾三期生」の方たちに、手弁当で手伝っていただきました。感謝しております。
なお、この工事は末川建築設計事務所さんとご一緒させていただきました。これからもよろしくお願いいたします。(^^)
京町家改修工事 施工前・施工中・施工後写真
着工前の町家




施工前










今回の京町家改修工事を振り返って

着工前は、「本当にこれが直るの?」というくらいに激しく傷んでいました。雨が降ると水が屋内に染み出すし、建具もほとんど動きません。そして、長年使われなかったせいかひどく汚れていました。
特に柱・梁といった構造体が腐朽したり蟻害にあったりし、工事の行く末が正直不安でもありました。

解体を始めると床下に不要物が敷き詰めてあったり、竹があちこちに根を張っていたりと様々な問題が表出してきました。
それでも末川先生と一緒に、図面と現場の納まりを照合しながら進めていきます。真庭さんに大工頭をお願いしましたが、力強い指導力で現場をまとめてもらい大変助かりました。

最後にたくさんの造作家具を製作。ご予算の制約から、そのほとんどが間伐された杉積層材。しかしながら、それらが全て現場に収まると、思いのほか古い梁組とマッチして見ごたえのある空間を構成する事ができました。
建物はリユース。家具もリユース。名実ともにエコな建築工事となりました。
着工間もない5月16日、解体工事の最中に発見した棟札の日付が【大正14年5月16日】。偶然とはいえ、なんだか不思議な感覚に襲われたのも今は昔・・・・。
まずは、事故なく竣工を迎えられた事に感謝。
着工前の姿をかえりみると、本当によい結果になったと思う。