アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

職人今昔

7.水切瓦の町並

 高知の東、室戸岬の近く太平洋に面して吉良川町がある。
 その町並みは塗込めの土蔵作りだが、土佐漆喰を塗込めた外壁に数段の水切瓦が付けてあり、あたかも家が鎧に身を固め肩寄せ合って建っているそんな町並みです。室戸は「台風銀座」と言うぐらい風の強い所で、白井貴子さんとの正月TV番組の収録に寄せて頂いたのです。今回で4回目になります。
 その日は風のあまりない日でしたが、屋根・建具・壁・床下と、どこを見ても風雨に強くできています。当時では、10メートル~15メートルの風はそよ風ぐらいと笑っておられます。風が強いと石が飛ぶとかで、古い瓦を剥がすと塩が固まり付いている場合が多くあり、瓦を止める土や外壁に塗る漆喰は風雨に強い土佐漆喰です。地方や関西で余り使用しない発酵させたスサを糊の替わりに使用しています。降ろされた古い土を拝見すると瓦も壁も下付けから土に漆喰が混ぜてあり、数十年経ってもびくともせず大変驚きました。

白井貴子さんと
白井貴子さんと

 また、京都では床下に風を通す工夫をいろいろ考えて建物を建てるのだが、ここ吉良川町では床下・框下などに風を通さず、煉瓦や石等で埋め尽くされています。小高い丘の屋敷回りに石ぐろと言われている石垣が施されているのが多く見られる。下半分はごろた石で、上半分は近くの浜で採石された玉石が土佐漆喰で積んであり、石の表情も豊かで見ていても飽きのこない石ぐろです。
 町並の格子も骨太の頑丈な商家格子が取り付けられ、水切瓦とマッチして落着いた町です。近くに24~26番の札所があり、お遍路さん達が、毎日この吉良川町の町並みを通ります。町並に心癒され、また町の人達もお遍路さんに優しく接しておられます。
 4日間の短い日時でしたが、風の町吉良川町は居心地がよい町でした。

職人随想
『全国商工新聞』H14年1月
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