四脚門の移築~旧ポンソンビ邸
なんと、ものすごい仕事がまわってきました! 門移設です! と言っても同一敷地内にわずか10m程なのですが、これが大変な工事なんです! しかも1回で動かして完了ではなく、先に仮移設しておいて、それからさらにもう一度移動して本設置しなければなりません。
もし、門を移築される際は参考にしていただければと思います。
門と土塀の縁が切れたところで、1回目の移設です。
一度躯体を解体して運べば軽いのですが、バラしてしまうと旨く組めない恐れがあるのでそれは断念。ということで、現状の形のまま動かすことになりました。
いったい何キロの重量なのか想像も付かないので、迷った挙句、結局一番無難なレッカーに頼ることにしました
レッカーで4ヶ所からバランス良く吊り上げようと力を加えても、なかなか持ち上がってくれません。
補強材の力を信頼し、その後更に力を加え続けたところやっと持上げることができました。作業が終わって重さを確認したのですが、ビックリしました。
なんと1,460㎏に達していたそうです。
仮移設が済んだところで、次に本移設をする為の準備に掛かります。
鉄筋はD13とD10を併用し、被り厚を十分に確保します。住宅とは違い、基礎石を載せる為に少し変形させました。
特に難しかったのは、控え柱(4本)の芯を基礎の段階から正確に出す必要があったのですが、既存の丸柱から寸法を出さなければならなかったので、かなり苦戦しました。
ここで大変だったのは、控え柱(丸柱の前後にある4本の柱)の基礎石を既存の寸法のまま正確に据えなければならないということです。
というのも、門柱が丸柱なので控え柱の芯寸法を正確に把握できないからです。
結局、控え柱の基礎石は予め固定せずにベースだけ捨てで打っておいて、移設が終わってからレベルを調整し固定するという方法で行いました。
本移設が完了したところで、構造が悪くなっている箇所の修復作業に掛かります。
くぐり戸袖の柱足元がひどく腐っていたので入れ替えることにしました。
ジャッキで一度浮かして袖柱3本共取替えます。
門本体の修繕が終わると次に、周りの既存に合せて土塀を新設します。もちろん既存の形状に合せてとなるのですが、唯一違うのは骨組みを木地で施工するということです。
その為、写真のような土と木地を接続しなければならない箇所がでてきます。・・・・・悩んだ挙句、既存土塀にズンギリボルトを差込み張り出した部分で木地に固定することにしました。
建物同様に土台を直接コンクリートに載せると腐り易いので、基礎パッキンを入れ、それが外部から見えないように、更に通気できるよう工夫しました。
既存の形状に合せるのですが、それぞれの面が少しずつ傾斜しているのでなかなかこれが微妙な仕事です・・・
木地だと腐る恐れがあるのですが、防腐防蟻処理はもちろんのこと、内部の空洞が蒸れて腐らないよう、前回にも説明した土台下の基礎パッキンから上部への通気で一安心。
塀の木下地が終わったところで、次に雨仕舞です。
解体した土塀の瓦を沢山残しておいたので、特殊なもの以外は全て古瓦でいけました。
塀瓦の仕舞が終われば続いて壁の下地処理です(何度も同じ作業を繰り返しているような気が・・・・)。
フェルトとラス網を貼り付けていきます。
外部の道路に面したところなのでひび割れするとすごく目立ってしまいます。更には、どこの工務店がやった?などと恥ずかしいことにも・・・・
新設塀の下塗りから中塗りには砂漆喰を塗ってもらいました。
ひび割れし難いように乾燥させては塗り・・・また乾燥させては塗り・・・という作業を何回も繰り返し、少しずつ工程を進めます。
ちょうど写真にある、塗壁と石垣の取合い部には、あまりにも細かい作業で時間が掛かってしまい、職人さんも疲労困憊です。
石の隙間に雨水が溜まらないようにモルタルも詰めてもらいました!
さて。いよいよ工事も大詰めです!
木口の胡粉塗りです。殆どが綺麗になると、既存の古ぼけて色褪せた小口だけが余計に目立だちます。
塗り替えると、やはり引き締まりますね~
最後に土間仕上工事です。
見てください!この細かい石敷き[あられこぼし]を!
外部側の約10㎡の石を敷くのになんと2週間も掛かったそうです…
熟練した職人さんが手間暇かけた甲斐あって、こんなに表情豊かな美しい仕上りになりました!
さて、やっと竣工を迎えました!
相当時間は掛かりましたが周りの雰囲気に違和感無く仕上がって良かったです。
また、このような仕事があれば是非やってみたいですね。
門移設のご用命はアラキ工務店 米沢まで。お待ちしています♪
工事を進める中で、わからないことが多く一から調べるという作業も増え、すごく大変でした。
でも、今となってそれも良い経験だったと思います。これからも、悩むということを惜しまず努力していきたいと思っています。
より詳しい工事内容をブログにアップしておりますので、是非ご覧ください。


