駒寄のある京町家
京町家改修工事の竣工写真をご紹介させていただきます。今回もWIN建築設計事務所さんのお仕事です。 京都市の指定景観重要建造物に認定された建物で、間口5間の大きな構えです。長い間、空き家だったのですが、施主さんのご実家だという事で、なんとか再生して活用できないかという相談を受けました。

出格子・虫籠窓・銅樋・一文字瓦など、京町家の特徴を生かして改修しています。スチールの柵を撤去し、駒寄を新調しています。

左:通り出入口をみる 右:ダイドコ入口をみる
南側の柱は腐朽のため補強しています。式台も、在来框清掃の上床板を張り替えています。

左:取次ぎ入口 右:ミセニワから取次ぎを通してミセノマをみる
土間は色モルタル(黒)目地きり仕上。建具は、古建具を再利用しています。床は杉板張。壁は漆喰塗。天井は棹縁を補修してきれいに清掃しました。

もともと出格子脇は、腰窓だったのですが、意匠を統一するために全面糸屋格子にしています。障子には、硝子のかわりにポリカをはっています。

左:前栽をみる 右:ミセノマをみる
部屋が建具で仕切られている伝統的な町家の間取りを生かして改修しています。建物のゆがみをきっちり直したので、水平垂直がきれいに出ています。

ナカノマから2階に上がる階段をみています。階段下に地板・床柱を配置していますが、これは古材を再利用し、押入を全面改修しています。正面の掛け軸は施主さん提供品です。

厨子2階です。床は杉板張。天井・壁は土佐和紙張。今回、ギャラリーとして活用されるために、広い部屋に改修しています。一番手前の梁は新しく入れています。

左:ダイニングをみる。 右:火袋奥をみる。
天井は張らず吹き抜けのまま残しています。既存の母屋木を生かしその間に杉板を張り上げています。

古建具を再利用し、それにあわせて縁側をつくっています。床は松縁甲板張。壁はじゅらく塗。昔ながらの佇まいが住まいを引き立てます。

便所に通じる廊下です。正面には施主様提供のステンドグラスが見えています。水廻りは大変傷んでいたので、軒桁・垂木・野地板もやりかえています。トイレの建具は古建具を再利用しています。
『古い建物もきちんと直すことができる』というのを、多くの方に伝えることができ、大変うれしく思っています。これからも、1軒でも多くの町家を直し、町並みの保存に貢献できればなと願っています。サテサテ次はどこの家を直そうかな・・・