西京 S邸
古民家を補修・修復して住み続ける
物件
所在地 :京都市西京区
主体構造:木造。当地で建造された民家の材料を可能な限り再利用。
旧建築年:1810年頃(江戸中期と想定される)
解体年月:1996年4月
工事年月:1996年5月~10月
規模(地上2階)
敷地面積:1064㎡
建築面積:179㎡
延床面積:241㎡
経緯
もともと、江戸中期に建造された豪農の建物です。阪神大震災の際、樫木原断層の上に位置していたため、建て直しをせざるをえない状況にありました。
弊社の社長が監事を務める「古材バンクの会」に話しが持ち掛けられましたが、「建て替えではなく、補修 修復して住み続けるのをおすすめしたものです。
基礎を整え、あちこち痛んだ部材を取替え、以前の改築のときにふさがれてしまった天井裏をもう一度あらわして、きもちのよいリビングを復元しました。
歴史のある立派な建造物であったため、施主の希望で、柱・梁等当時を彷彿される材料をできるかぎり再利用し、間取り・設備等は住みやすいように工夫を凝らしています。
西京 S邸(続き)
なんと、Sさんのお住まいが、雑誌の巻頭に掲載されました! 大変ありがたく思っております。
とても素敵な記事にしていただいたので、ここに再録します。学習研究社さん、本当にありがとうございました。_| ̄|○
今の暮らしに馴染む明治期の佇まい
「以前の改築でふさがれていた天井をあけたら、立派な梁が出てきて本当にびっくりしました」と話す桜井さん。この驚きが古民家再生の大きな原動力になったそうです。
姿をあらわしたのは太い梁を支えるように組まれた細い梁で、京都特有の工法。その昔、台所に続く土間だった空間は、吹き抜けの景観を取り戻し、梁越しに天窓から日が降り注ぐリビングに生まれかわりました。
玄関からリビングに続く入り口には、庭で摘んだ花を生けて。一歩入ると梁桁が張り巡らされた天井の高さに圧倒されます。
明治時代に建造されたこの家の外観からは、まるで時代劇のような印象を受けます。基礎は新たに打ち直しています。
リビングから見上げたところです。改築時に買ったパキラが、10年でここまで育ちました。吹き抜けの高さが効果的に演出されています。
修理できる職人がいなくなって、止まったままの時計も、インテリアとして活用。少しレトロな味わいある雰囲気を醸し出しています。
江戸時代から続くこの家は、梁組みが印象的。梁の風格を、代々受け継いだ調度や道具、季節の花々が引き立てます。「美しい道具があれば、飾りは必要ない」。そんなことを教えられるしつらいです。
歴史を経て、ますます貫禄を増す柱や梁。日本伝統の技術が作り出すダイナミズムと品格を目の当たりにすることができます。この家が、空間そのものが美しいのです。
使い込まれた桐の水屋箪笥は、この家の家具の主役ともいえる存在感。今も現役で活躍中で、古い食器などが収納されています。
建築時の古材や調度を再利用
ご主人の生家であるこの家は、今から百年以上前、豪農の屋敷として建てられたもの。震災で一部倒壊したため、大阪のマンションに暮らしていたご夫妻が「アラキ工務店」(京都府・京都市)に依頼して一部間取りをかえて再建し、お母さまと同居することになったのです。可能な限り建材を再利用して、変更部分以外は建築当時の状態をほとんど再現しました。
緻密に組まれた特徴的は梁を生かすよう、内装は極めてシンプル。床材にはタモ材を採用し、要所に床暖房を入れました。木のぬくもりを感じさせる家具が控えめに置かれるなかで、和の情緒を高めているのは、この家に代々伝わる調度や古道具の数々です。
花以外、何も飾られていないところが潔くて美しい広い玄関。和室からもリビングからの行き来できる造りになっています。
昔ながらの、屋根つきの門構え。これらの外構や前庭も、以前から受け継がれてきた趣を忠実に再現しています。
「子どもたちも古いものに魅力を感じるらしく、蔵にあった文机を自分の部屋でゲーム用の台に使ったりしているんですよ」と、Sさん。
明治時代の佇まいを色濃く残しながらも、現代の暮らしにマッチした快適な住まいを実現しています。
☆☆ 写真提供:和のしつらいを楽しむ[決定版]2007年1月発行 ☆☆


