これからの100年を考える
平凡社が出版する雑誌「太陽」が11月号で休刊となってしまいました。その号では『古民家と暮らす』という特集が組まれております。人と同様家も生きている。京町家作事組の活動が一部紹介されておりました。今回は記事の一部を抜粋しております。
中世にはすでに町家の原型があったという京の町。商家が集まる中京を中心に、江戸期に今の容に発展した。商人の家だから仕事場と居住空間を併せ持っていた。敷地は表通りに面し間口が狭く、その開口いっぱいに建物は建てられていた。
家の中は薄暗く、通り庭にある台所は使い勝手が悪い。
冬は寒いし、維持管理費や相続税の問題が生じ、代々住んできた町家を手放したり、改築する人が増えた……。
が、最近町家本来の姿が見直され、町家を再生する動きが活発になってきた。
今では、町家に暮らしたい人、住み継いできた人のための「京町家再生研究会」、実践部隊といえる職人たちを紹介する組織「京町家作事組」、住み手のネットワーク「京町家友の会」の三者がお互いに情報を交換しあって、再生保存活動を展開している。
柳馬場どおりにある町家の工事現場で指揮をとる大工棟梁、荒木正亘さんは「京町家作事組」に属している。
「町家の改修で気を遣っているのは費用をあまりかけないこと。古材の痛んだ部分を削って再利用したり、新材で根継ぎしたりと、限られた予算の中で、大工の技術を生かすんです。昔の大工が手がけた見事な仕口(梁や柱の継手)を見ると、いい勉強をさせてもらったと思います。簡単にしてもいいところは簡単に済ませて、重要な部分はきめ細かく仕上ている……。そういったメリハリも見つけられるんです」
ところで、現在の職人は100年後には何を残してくれるのだろう。
「構造は変わらなくても、意匠や建築のスタイルが時代によって変化していったんです。だから私たちも平成の町家を作りたい。今は模索中です」