アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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京町家・古民家フルリノベーション工事費用(考え方)

 『戦前の住宅を購入することになり、その改修費用がどれだけかかるかが判りません。一般的に坪当たり、どのくらい見ればよいのでしょうか』
 このようなご質問をいただくことがよくあります。見当がつかなくてお困りの方が多いようなので、簡単に考え方をお示ししたいと思います。
 残念ながら一般的な坪単価というのはありません。実際のところ、改修費については【建物の傷み具合】と【施主様の希望】により、大きく費用が変わります。300万でも直せるし、3000万以上かかることもあります。

建物の傷み具合 で費用が変わる

どれだけ傷んでいるかで費用は大きく変わります。 ▼クリックで展開

施主様の希望 で費用が変わる

どこまで古いままでも我慢できるかは、人それぞれです。 ▼クリックで展開

構造改修をする場合 は建物全体を人力で直さなければならない

 弊社サイトに掲載している例では、大規模改修がほとんどです。構造からきっちり直す場合は、坪70万以上かかる事もあります(建物が小さい場合には、坪100万かかることもあります)。
 躯体の歪みを直すと、壁はほとんど割れるので、左官工事が増えます。床や天井を解体しないと、油圧ジャッキで突けないことも多く、復旧費がかかります。ガス管や水道管をいったん外さないといけない場合は、せっかくなので、見えないところに隠したいのが人情なので、さらに設備工事費がかさみます。
 しかしながら、内装だけ綺麗したり、新建材で覆ったりでよければ、坪25~40万でもできます。某リフォーム会社の提示価格はそのくらいです。
 柱が傾いている場合でも、内側に真っすぐな壁をつくってしまえば、パットみためは綺麗になります。

京町家や古民家の地震対策 は限界がある

 どのくらいのレベルの対策をするかどうかで大きく費用が変わります。
 戦前に建てられている住宅は、現在の建築法規で計算すると、大きく下回る強度しかなく、耐震診断をしても「倒壊寸前」の結果が出る場合がほとんどです。基礎は石を置いているだけだし、壁も最小限しかありません。そのため、本来必要な強度の1/5を下回ることが多いといえます。
 これを、現行法規に準拠するところまで改修するのは、物理的には可能ですが、莫大な費用が掛かったり、壁がやたらと増えて住み心地が悪くなったり、補強材のおかげで和室の意匠が台無しになったりするのでお勧めしません。もし、耐震等級2とか、3をご希望なら、そもそも町家に住むことはあきらめたほうがよいように思います。
 それよりむしろ、柱の腐朽を直し、水はけをよくし、木組みをしっかりさせるのが大切です。もちろん、地震時に変形しますが、倒壊を防げるように、努力をします。

戦前の住宅を全面改修 すると、分譲住宅新築以上に費用が掛かる

 坪70~100万ほど掛かることが多く、びっくりされる方もいらっしゃいます。
 戦前の住宅を改修するには、技術と人手が必要になります。腐朽した柱や梁を入れ替えようとすると、現地で木材を加工して、既存に合わせて組み付けなければなりません。壁は左官仕上げですし、柱も化粧で見えます。建具も現地で寸法を合わせて作ります。
 一方、分譲住宅は事前にプレカット工場で加工し、持ってきて組み立てるだけでできます。外装はサイディング屋、内装はボード屋さんがペタペタ張っていきます。大抵構造材はみえません。建具も、規格品を持ってきてはめ込むことになります。
 これを単純に比較するところに無理があります。
 戦前の住宅を、住みやすいように直そうとすると、分譲住宅新築以上に費用が掛かることも多いのですが、全く別物と考えた方がよさそうです。戦前に建てられた町家や民家を、仮に新築しようとすると、坪150~200万くらいは掛かります(実際には、建築法規の問題や、材料が入手困難なので不可能ですが)。そうした建物が、改修することで分譲住宅並みの価格で住むことができるとなれば、お得と考えた方がよいと思います。

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