アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

6.気候風土や建物に合った構法

 日本の気候の特徴は、周りを海に囲まれているために雨が多く、気温も湿度も高い高温多湿であることです。そのため、なるべく開口部をとって換気をし、夏場の強い日差しを防ぐために軒を深くしたほうが過ごしやすいと考えられました。
 また、豊かな森林に囲まれた地域のた め、木材は豊富に入手できました。そして、そうした木材を使うことが、森林を守り育てていくことにつながりました。
 日本では古くから、木材を組み合わせて家を造る「伝統木工法」が採用され、その延長上で「木造軸組構法」(在来工法)が発達してきたのはこのためです。
 弊社では、戦前の建物を改修する場合は「伝統木工法」の特性を生かした構造改修を行っています。建物が地震の揺れを逃がす構造(柔構造)になっており、筋交や布基礎で建物を固めず、建てられた当時の考え方に即して改修します。
 もちろん、何度も改修を重ねられて間取りが変わったり、間口が狭く既存の壁量だけでは大きな地震に耐えられないと判断するような場合は、ケースバイケースで、補強の仕方を考えます。
 新築の場合、主に「木造軸組構法」でさせていただく事が多いです。「伝統木工法」にこだわると、構造計算費用などがかさみご予算に合わないことがあるからです。

木造軸組構法はリフォームがしやすい

 永い間にわたって家に住もう…、次の代まで家を残そう…と、いうのであれば、設計自由度の高い旧来の在来軸組工法が適していると思います。柱と梁で家を支えているため、壁をニーズに応じて作り変えられるからです。プレハブ工法は、壁面で家を支えるため、一度建てたらなかなかリフォームができません。2つの部屋を一つにしようと思っても、壁がないと2階の重量が支えられないからです。
 (もちろん、在来工法であっても、耐力壁を撤去する場合は、別の場所を補強するなど、所定の耐震対策が必要です)

釘を多用しない

 2×4は、もともと湿度の少ない北米で発達した工法であったため、日本で建てた場合、気密性が高く湿気が抜けず腐食する恐れがあります。建物の強度を金物で担保していますが、湿度の高い日本で通常の釘金物が次の代までもつかどうかは判断が難しいと思われます。

開口部(窓・室内建具)を大きくできる

 四季のある日本の土地に、極端な『高断熱・高気密』の家は合わないと考えます。外部の風とか、気候とかいろんなものがわからなくなり、住んでいる人が季節を感じなくなってしまうからです。
 もちろん、快適に生活するために、一定の住宅性能は必要です。京都にいるのに「北海道クラスの気密性」とか「○○暖房で、いつも南欧の温かさ」は不要だと考えます。

 もちろん、「木造軸組構法」といっても、従来の「伝統木工法」を否定するものではありません。現在の建築法規にのっとれば、戦前に建てられた京町家は全て不適格住宅になります。耐力壁をつけ、筋交をつけ、補強金物をつけるのが、建築基準法でいう「木造軸組構法」です。弊社では、京町家にお住いになる方には現在の躯体を尊重し、土壁の耐震性を考え、バランスの取れた補強をするように心がけています。伝統木工法において、仕口等を補強するダンバーもそのために開発されました。
 阪神淡路大震災級の地震にも耐えられるような改修を推し進めているところです。

このページの先頭に戻る