黒門 京町家
長年ご商売をされていた和菓子屋さん。
何度も改修され、店舗として活躍していた町家。
いろんな思い出、たくさんの出会いを経て今も残る。
でも、時は流れ、お店はなくなったが解体するには忍びない・・・
大切な住まいだからこそ、「ご苦労さんだったね」と声をかけてあげたいですね。これからも、末永く苦楽をともにした住まいとともに暮らしていければ素敵です。
リフォームの前と後

車椅子が通っても大丈夫なように、硬木(サクラ)のフロアを張りました。
ミセの間もダイドコも店舗にするため土間だったのですが、元通り居室に戻しています。

下屋が潰され、看板建築になっていたのですが、元の状態に戻しています。
解体時にしょうきさんが見つかりました!

和菓子を作るための大きい機械は撤去。
式台・タタキ風土間・格子戸など昔の雰囲気を戻しました。

お店部分の天井を解体したら綺麗な大和天井がでてきました。
舞羅戸は住まいに合わせて新調しています。

ご商売のため、ここも床が撤去されていました。
部屋を広く見せるため階段下も表しにしています。

建具は座敷にあわせて新調。光が入り気持ちよくなりました。
前栽に増築されていたトイレや台所を撤去し、昔の庭に戻しています。

町家は3室続きなので、どうしてもナカの間が通路になってしまいます。
こうして廊下をつければ1部屋有効活用できます。この部分の間取りは元のままです。

廊下を作ったのでナカの間が狭いし、光も入りません。
それで、通り庭部分に床を張り、天窓から光が入るようにしました。

欄間はそのままですが、建具は新調。天井も、何度も拭きなおしてそのまま再利用しています。
小野くんが自分で掃除しました。

きれいです。
気をてらった意匠にしなくても、シンプルな素材の組み合わせでとても心地よい空間になりますね。
『看板建築』から本来の京町家への再生
場当たり的な改修が繰り返し施工された京町家。
改修前、トウリニワの一部を除き、京町家の面影は皆無。もちろんファサードも『看板』に覆われて本来の姿は不明。
施主様との協議の結果、改修方針としては、以下のの4点に絞り改修工事を着工。
1.場当たり的な改修を全てリセット
2.電気設備、給排水衛生設備、ガス設備などの設備を一新
3.ファサードの『看板建築』を本来の姿へと再生
4.構造改修及び補強

特に重点を置いたのが、『構造改修』。1階で商売を営まれていた関係で、多くの柱が抜かれていた。 それら柱を『在るべき位置』へ据えつけて、『在るべき構造』へと導いてゆく。
蘇った『構造』は、それ自体が『意匠』。そんなに厚化粧しなくても十二分に美しい。
骨(構造)を直し、内臓(設備)が一新された京町家。安心で美しい空間が再生できたと思う。
