火袋廊下の京町家
杉小丸太の階段手摺
6年ほど前に改修の相談を受けてから、長い間、空き家の管理をさせていただいたお住まいです。
この度日本にいらっしゃることになり、やっと着工の運びになりました。
数寄屋風の内装を活かした改修になりました。
施工 京町家を基礎・構造からリフォーム
工事前の外観です。
モルタルで覆われていました。
モルタルで覆われていました。
工事前の台所。
天井が張られて暗くなっていました。
天井が張られて暗くなっていました。
外壁側の壁や柱が腐朽しブロック積に。土間も土管からの排水で沈下していました。
座敷の床組みを解体し、基礎の補強をします。
大黒柱の基礎は根巻します。
2Fの天井を解体したところ、ごろんぼが出てきたので化粧で見せることにしました。
天井裏にグラスウールを充填します。
杉板を張り上げ、既存の廻り縁の跡は埋木します。
壁はラスボード左官下地です。
壁はラスボード左官下地です。
外部のモルタルを剥がし、伝統的な意匠に戻します。
壁を一部落として化粧木材を入れたため、左官屋さんに荒壁土をつけてもらいます。
躯体の歪みがなおったら、屋根を葺き替えます。まずは土降ろしからです。
ガラスを入れる前に建具の塗装をします。柱や鴨居もクロスを張る前に塗装します。
跡片付けをする築山親方。
不要な木材を整理し、撤去します。
もうすぐ終わりかと思うと、ちょっと寂しいですね。
竣工 数寄屋と京町家の良いところを活かして
内付サッシに木格子をはめこみました。
外壁は白漆喰にベンガラくん塗です。
瓦葺替。木部も付長押や前包を復元しています。
(1Fは路地奥のため写真不可でした)
ハシリは床を張ったので、手前に敷台を設置。四半敷風の目地入墨モルタルの土間と沓脱石は既存利用。
ミセノマに下屋根がついています。
ミセノマに下屋根がついています。
引分猫間障子も吹寄障子も既存再利用です。
この部屋の内装は、前所有者の意匠を活かしています。天井の葭は張替ました。
この部屋の内装は、前所有者の意匠を活かしています。天井の葭は張替ました。
座敷も従前のままですが、床は全撤去し、躯体の歪みや傷みを直しています。
畳下に床暖房が入っています。
2F表の間。右奥は杉板1等張りの納戸です。
天井をめくると、ごろんぼがでてきたので、天井高を上げることになりました。
天井、床共杉板張。壁は白漆喰塗です。
寝室です。
床は床暖房用アメリカンウォルナット挽板3mm積層フロア。
障子の向こうは縁側になります。
ハシリに床を張って台所にしています。
一部吹抜になっていて、天窓からの明かりも1Fで取ることができます。
一部吹抜になっていて、天窓からの明かりも1Fで取ることができます。
1Fの縁側です。
軒桁、建具、敷鴨居は古いものですが、小舞天井、柱、窓枠、床板は新しくなっています。
軒桁、建具、敷鴨居は古いものですが、小舞天井、柱、窓枠、床板は新しくなっています。
物干に通じる階段です。左下が台所になります。
手すりの先に擬宝珠も見えます。
天井は断熱材を充填し杉板を古色塗して張り上げました。
手すりの先に擬宝珠も見えます。
天井は断熱材を充填し杉板を古色塗して張り上げました。
幅剥(はぎ)の杉板に洗面ボウルを乗せています。
トイレの手洗いも兼ねています。
左手の建具は再利用しています。
トイレの手洗いも兼ねています。
左手の建具は再利用しています。
『火袋廊下の京町家』お客様の声は、リフォーム評価ナビ「株式会社アラキ工務店の口コミ」に掲載されています。
そんな意匠をできる限り残したいとの事で、古い材と新しい材の使い分けと色の塗分けが大変でした。
思い切って新設の木部は全て無着色(手垢止めのクリア塗装は施しました。)とし、時間の経過とともに古色に焼けてくる様子を楽しんでもらうようにしました。
ほとんどの仕上がりが無垢板と土壁で、町家本来の直し方ができたかと思います。
町家に住み続けて頂くために、改修では明るく広い空間も作れるよう工夫しています。
これからも京町家を一軒でも多く残していけるような工事が出来るよう、町家の良さを広めていきたいと思います。