京町家 黒の家

海外で建築デザインを教えていらっしゃる方のお住まいです。
長屋建ての真ん中のお住まいで、建物全体が大きく傾いていました。その傾きをできるだけわからなくするためにかなり苦労したお仕事です。
現場を担当した大工さんは、桜井君です。
京町家のリノベーション 1) 施工

昭和半ばに大きく外観を改変されていました。

まず、内部を解体し、躯体がどのくらい歪んでいるかを計ります。

腐朽した井戸引きの下に一つ石を据え、根継をします。

隣家の音が聞こえるので、足元は塞ぎます。

全景! 束石を据え、大引きを入れます。

フェノバボードを床に敷き詰めます。

隣家側は薄いグラスウール。外壁側は高性能16kgを入れます。

既存畳下板の上に水平レベルを出します。天井はこれからです。

天井の下に断熱材を充填し、新しい垂木と野地板を入れます。

まずは、側板を設置。大工の益倉くん。これからが大変!

左の柱と右の梁の間に入れないといけません。

しかも荷重がかかるので、丁寧に組み立てます。
階段制作風景
京町家のリノベーション 2) 竣工

黒と白で統一されたデザインです。
スイッチや取手や障子も黒いです。

集成材を組み合わせています。柱と梁の間に苦労してはめ込みました。

小さいですが、明かりが取り込めます。
植木職人の安田さんが作庭しました。
菖蒲張りの塀も黒で統一です。

左上は配管ダクト。カウンタも換気扇も黒色で統一。床は灰色のクッションフロア。

左手は浴室で脱衣室を兼ねています。水撥ね対策のキッチンパネルは壁と同面に収めています。

見上げると天井板も黒色。既存野地の下に断熱材を充填し、新たに竿天を古色塗の上張り上げています。

2F洗面も黒です。

右手の壁は敢えて綺麗に塗らず補修で済ませています。
天井の竿ピッチは実は微妙にずらしています。
手前と奥で幅が異なるからです。
また、路地奥の物件でしたので、材料の搬入出にあたっては、ご近所の方にご迷惑が掛からないよう細心の注意を払いました。ご近所の皆様、ご協力ありがとうございました。
細部までこだわった仕様で、器具類の色も部屋ごとに微妙に違ったり、寸法も細かいご指定をいただいたりで大変でしたが、できてみると、施主様の想いが随所にみられ、小さいながらも素敵なお住まいになりました。
施主様が海外にお住まいのため、質疑応答には苦心しました。定期的なオンラインミーティングの他、メールでのやり取りは300通を超えましたが、迅速にご返事いただいたので、大変助かりました。
