京町家のリフォーム 七本松 京町家
福井の大工さんの建てた住まいを直す
ホームページを観て頂いて、メールをいただいたお施っさんです。
昔ながらの大きな町家なのですが、いろんなところに改造された跡がありました。
台所の天井をめくると、とても素敵な空間がありましたので、何とか昔の状態に戻すようお勧めしました。
今回は、一部の画像( ● )をマウスオーバーすると、施工前の写真がでてくるように工夫してみました。ご参考になれば幸いです。
外観です。
玄関の建具は、大きな框戸だったのですが、出書院にあわせて糸屋格子にしました。
おじいさんから、「昔の建具が戻ったようだ」といわれました。
偶然、建てたときの建具と同じデザインだったようです。
(ヒバ材。ワビスケ塗)
出書院は、残念ながらペンキ塗されておりましたので、木目がでておりませんが、全部少し明るめで塗りなおしました。
壁も暗い掻き落し仕上だったのですが、白漆喰に塗替ました。
では、中に入ってみましょう。
右手が店の間への入り口です。昔お店をされていたときは、ここでご商売をされていたようです。
正面の中庭ごしに内玄関が見えます。
内玄関の建具は立派ですので、そのまま再利用しています。
建具の上に見えるのは、祭事で利用する堤燈入れです。
もともと畳が敷いてあったのですが、板の間に変えています。(松板厚38㎜床下スタイロフォーム40㎜張)
右手にアルミサッシが見えます。ちょっと違和感あるのですが、断熱優先で、スリのペア硝子を入れました。
正面に箱階段が見えます。
もともと、居間で使われていた階段だったのですが、勾配が急で登りにくいので、作り変えました。
既存の箱階段を捨てるのは忍びないので、きれいに取り外して、塗りなおし、家具として使う事にしました。
この部屋は、畳表替・壁塗替・障子張替程度の仕事です。
手前の硝子戸はワビスケで塗りなおしました。
正面の無双戸の奥にさらに引き戸が見えます。お施っさんからの要望で、2重に引き戸をつけています。
奥さんの生けたしつらえが映えます。
水廻りも構造を生かして
正面右手の大黒柱は8寸あります。大屋根まで延びていますので、10mはあります。
こちらのお住まいはお施っさんの希望で、できるだけ引き戸にしました。ただ、引き戸だと壁厚が薄く漆喰がきちんと塗れません。
正面左手の壁はやむなくクロス貼にしたのですが、ぱっとみるとわかりません。
(継手を探せばわかりますが…)
キッチンの床は床暖房を仕込んでいます。
壁が白くなったので、キッチンも白で統一しました。
上向けのスポットライトがいい感じです。
正面に内玄関が見えています。
左手前のチェーンは吹き抜け上部の窓の開閉に使います。
吹き抜けなので寒そうですが、床暖房と、厚めの断熱材、厚い荒壁、吹き抜け上部の扇風機で快適です。
実際はほとんど床暖房は使われてないとのことでした。
この座敷はほとんどそのままです。
壁の塗りなおしと建具の建て合わせ、障子の張替、雑塗装といったところです。
今回は、雑然とした裏庭をきれいに作り変えましたので、硝子ごしに見える景色が良くなりました。
この部分は、新築のように見えますが、実は改修です。
構造材以外は全て、基礎・屋根も含めて新調しました。
この庭は、すでにある材料で、うちの松本くんが作り直しました。
(袖垣と四つ目垣は新調しました)
捨てるしかなかった石も、きれいに並べてよみがえりました。
この現場は、大晦日の前日にぎりぎりセーフで竣工したのですが、最後に「良い仕事をしていただきました」といっていただき、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。