A.鶴の家(続き)
それでは、中2階に上ってみましょう。
もともと、脱衣所だったため、1Fの天井が5.5mと高いため、リビング以外は天井を下げる事にしました。そうすると、広い天井裏の空間ができあがります。
天井裏といっても、がんばって天井をめくり、2Fの梁を表しにすれば、高いところで1.9mもの開口を取ることができます。
そこで、天井裏に杉板を貼り、書斎(H1.9m)と納戸(H1.5m)と物入(H1m)にする事にしました。
中2階の書斎。床/美山杉38mm(天井兼用)。壁/美山杉12mm。天井梁/地松。
天井梁は既存の構造材を現場でサンダ-掛けしてきれいにしました。
2Fの廊下です。もともと2Fは4部屋とも和室だったのですが、南2部屋を子供部屋にし、一部廊下に転用しました。
床/松縁甲板。壁/漆喰塗。天井/竿は既存で天井板は貼替。
右の写真の押入の舞羅戸は、別の部屋にあった戸を再塗装して使っています。
2Fの和室はできるだけ、既存の佇まいを残して、リフォームしました。そのため、鴨居の高さは1730mmと少し他の部屋に比べて低くなっています。
畳はでこぼこしていたので、畳下調整の上、表替。
床の違い棚は、傾いていたので一旦取り外して補強しなおしました。
壁/じゅらく塗替。襖/貼替。天井/竿縁は既存でたわんでいたのを吊りなおしています。。天井板のみ貼替。
見違えるようにきれいになりました。この部屋も新築のようです。
さて、最後に外部の仕舞ですが、まず、防犯を考えて、家の周囲に忍び返しをつけることになりました。ただ、通常販売されているものは、あまりに仰々しいので、少し工夫をしています。
ブロックやカーテンゲートの上は『フェンスガード』という商品をWEB上で手配しました。
ステンレス製のトゲトゲです。(^^ゞ
ただ、製品があまりにキラキラしていたので、プライマー処理の上、ゲート上は黒・ブロック上はサンド色に着色しました。
西玄関の東西は、ガンブリ瓦が乗っているので、トゲトゲではあまりに悲しく、いろいろ探したのですが、いいものがありません。
それで、竹材店で青竹を購入し、加工の上内側から取りつけました。
右の写真のような感じです。デッキ床材は栗です。
栗は、雨・蟻害に本当に強いので、こういう時は重宝します。
東庭には、濡縁をつけました。しおじ材です。南側に御両親、北側に息子さん宅のテラス窓があります。
「濡縁でひなたぼっこしながら、おばあちゃんがお孫さんを眺める・・・」という情景が浮かび上がってきます。
濡縁の奥に見えてるのは、ニッカ製のウィスキー樽です。雨水を集めて庭に水を撒くためのものです。大屋根に降る雨の1/4がこの樽の中に入るので、一晩で一杯になります。
これは、大変気に入っていただきました。
いかがでしたか?
こうして、古いお宅でも、解体せずに新築のように蘇らせることができます。
思いでのある柱も、建具も再利用することにより、「実はね昔ここはお風呂屋さんだったのよ」と語り継ぐ事もできます。
うちの大工も、昔の大工さんの仕事を見ることができ、本当に勉強になりました。
もし、機会がありましたら、またこういうお仕事に携わることができたらなあと思う、今日この頃です。