美の壺~木組みが生み出す空間美1~
暗さを楽しむ
ナレーション(以下N)「古い木造家屋は不便だと思われがちですが、京の町家にあこがれる若い人たちがここ数年増えてきました。4年前、マンションから町家に引っ越してきたMさん一家です」
Mさん「もともと古いものが好きやったんで骨董品とかを見るような感覚で自然と古い家にすんでみたいなという思いがでてきました」
奥様「今の生活はほとんど裸電球でやっています。明るくしたいなと思った時もあったんですけど、今となっては暗さもそんなに気になりません。夕方の4時くらいが一番台所が明るいんですよ。明るくなった時に『今だ』って感じで掃除したりしますね。なんかそういう時間にあわせてやるのもそんなに苦ではないですね」
町家再生
N「本来の風情を失った町家。近年、それをもとの状態に再生する取り組みが進んでいます。こちらは再生工事が完成間近の町家です。建具が入る前のガランとした内部。見上げてみると意外に広い吹き抜けに気づきます」
荒木「京町家は部屋が横にならんでいます。でも、そこだけ見るんじゃなくて、隣の通り庭に入ると今度は縦方向に大きな空間が広がっています。。閉鎖された空間から開放的な空間に移っていく。それが魅力ですね」
N「このお住まいでは吹き抜けに床を張って二階に部屋をつくっていたのを、もとの状態に戻しました。側つなぎと呼ばれる太い横木も、もとあったところに復元しました
N「反りを生かした側つなぎ。上からかかる力に対して強く、空間を広くみせています。こうした木組みを用いて空間を演出できるのも京の町家の魅力なのです」