4.住宅ローン控除
所得税の住宅ローン控除
内需拡大の柱である住宅投資を促進するために「過去最大の住宅ローン減税」が実施され税額控除額が拡大されました。
控除を受けられる税額は、住宅ローンの年末残高の1%ですが、下表のとおり居住した年により控除限度額が異なります。
住宅ローン控除 | ||||
居住した年 | 控除期間 | 年末残高の限度額 | 控除率 | 控除限度額 |
---|---|---|---|---|
平成21年 | 10年間 | 5,000万円 | 1.0% | 500万円 |
平成22年 | 5,000万円 | 500万円 | ||
平成23年 | 4,000万円 | 400万円 | ||
平成24年 | 3,000万円 | 300万円 | ||
平成25年 | 2,000万円 | 200万円 |
簡単に言うと、『利息が1%安くなる』という事です。この制度、特例措置として実施されています。ただ、いつも、期限が近づくと、再度期間延長される事が繰り返されてきました。
今度どうなるんでしょうか・・・
なお、この特例の適用には以下の要件を満たさなければなりません。
- 主な適用要件
- 共通要件
- 家屋の床面積が50㎡以上で、床面積の1/2以上を居住用として使っていること。
- 6か月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き居住していること。
- その年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
- 新築または取得
- 居住した年、その前年、その前々年に居住用財産を譲渡した場合の特別控除や買換えの特例を受けていないこと。
- 中古住宅の場合は、建築後の経過年数が20年(耐火建築物は25年)以内であること又は耐震基準に適合するものであること。
- 増改築等(この場合、リフォームローンと称します)
- 工事費用の額が100万円を超え、その1/2以上の額が居住する部分の費用であること。
- その増改築について検査機関や建築士の証明があること。
- 共通要件
- 主な適用対象となる借入金
- 金融機関(銀行・信用金庫・信用組合・農協等)、地方公共団体、勤務先(共済組合も含む)等からの借入金であること。社内融資の場合は金利1%以上であること
- 借入返済は月・年等1年以下の期間を単位として規則的に行うものであること。
- 償還期間10年以上の借入金であること。
リフォームでも住宅ローン控除の対象になります。工事費用が100万円以上あれば、借入残高を問わず、住宅ローン控除の対象になります。
ただ、リフォームの場合は、適用されるかどうかは、所管税務署に一度確認されたほうがいいと思います。弊社で「大規模な模様替」という形で書類を作成すればOKという事が多いのですが、税務署さんによっては見解が異なりますので、一度確認された方がいいと思います。
住民税の住宅ローン控除
所得税の住宅ローン控除を受ける人が、所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除することができるようになりました。
住民税で控除できる金額は次のいずれか小さい額です。
- 住宅ローン控除で所得税から控除しきれなかった額
- 住宅ローン控除前の所得税額(ただし97,500円が限度)
たとえば、所得税の年税額が30万円、住宅ローン控除可能額が50万円、住民税の年税額が50万円の場合、所得税で引ききれなかった20万円分の住民税が控除されるという計算です。
なんか、得したみたいですが、地方公共団体への税源移譲で、『所得税から住民税に税金の納め先が変わった』だけなんで、実態は何にも変わりません。(^^)
長期優良住宅の新築等 住宅ローン控除
新築または購入(新築に限ります)した家屋が認定長期優良住宅に該当する場合は次のとおりローン控除限度額が一般住宅より多くなっています。
住宅ローン控除 | ||||
居住した年 | 控除期間 | 年末残高の限度額 | 控 除 率 | 控除限度額 |
---|---|---|---|---|
平成21年 | 10年間 | 5,000万円 | *1.2% | *600万円 |
平成22年 | 5,000万円 | *600万円 | ||
平成23年 | *5,000万円 | *600万円 | ||
平成24年 | 3,000万円 | 1.2% | 300万円 | |
平成25年 | 2,000万円 | 200万円 |
この表の * 部分が変わっています。
主な適用要件は一般の住宅ローンに準じますが、家屋は認定長期優良住宅であると証明されたものに限られます。
この認定を受けるためには以下の基準をパスし、所定の審査を受けなければなりません。
- 長期使用構造等
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 維持保全の方法
- 居住環境の維持及び向上への配慮
- 建築後の住宅の維持保全の期間が30年以上
- 資金計画が建築・維持保全を遂行するために適切
この制度、趣旨は大変よくわかります。
日本の住宅は平均寿命が30年といわれるほど短く、もっと長く使えるようにしなければなりません。
でも、認定を受けるには、費用が2割ほど高くなりますし、将来子供たちが住むかどうかもわかりません。
なのに、あまりにメリットが少ない。。。(ToT)
たとえば、『控除率2%、控除期間20年』というふうにダイナミックな制度になればいいなと思いますが、いかがでしょうか?
バリアフリー・省エネ改修 住宅ローン控除
一定の要件に合致した改修を行えば、1,000万円以下の部分についてだけですが、ローン控除率が一般住宅より多くなっています。ただし、控除期間は5年間と一般の半分なので、これを選択したほうがよいかどうかはcase by caseです。
住宅ローン控除 | ||||
居住した年 | 控除期間 | 年末残高の限度額 | 控除率 | 控除限度額 |
---|---|---|---|---|
平成21年 | 5年間 | 1,000万円 以下の部分 |
*2% | ありません |
平成22年 | ||||
平成23年 | ||||
平成24年 | ||||
平成25年 |
なお、バリアフリー改修も、省エネ改修も、それぞれ、一定の要件を満たす必要があります。
- バリアフリー改修の住宅要件
- 基準を満たす対象者と同居(65歳以上等)
- 一定のバリアフリー改修工事を行う事(段差の解消等)
- 省エネ改修の住宅要件
- 全ての窓の改修(必須)
- 床・壁・天井の断熱
- 省エネ性能が現状から1段階以上あがる(H22年まではあがらなくてもよい)
対象となる工事であることについて、「増改築等工事証明書」の提出が必要になります。この証明書の発行は、簡単です。
建築士事務所登録をされている工務店であれば、簡単に発行してくれるます。
ただ・・・、全ての窓・・・
これ、四方に窓があったら、四方の外壁を直さないといけない・・・
もうちょっと、基準がゆるくならないかな(笑)。