アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

5.こんな仕事も

第4回:事故現場の修復

 今回は車による家の破損(損保会社とのやりとり)を見ていただきましょう。
 交通事故は車対車、バイク、人間だけでなく、車対家というのも結構多いものです。
 今までにも大きなものから小さなものまで・・堀やシャッター、門や石垣、などさまざまなものが車に衝突されています。
 今回もその一例です。  ある日、私の携帯に連絡が入りました。
 私「モシモシ、何ですか」
 事務員さん「村上さん、すぐM邸に行けますか」
 私「エ~、どうしたんですか」
 事務員さん「M邸に車が突っ込んで、エライコトになってるみたいなの」
 私「ハ~、それではすぐ廻ります」
 ということで、すぐM邸に向かいました。
 付いてみると、近所の人も集まり、見学会のようです。
 近所の人-1「ウワー、スゴイコトになってるな~」
 近所の人-2「ブロック塀が、Mさんの家にもたれかかっているナ~」
 私「かなりの勢いで当たってますネ~」
 近所の人-3「ソウネ、スゴイ音したもの」
 どうやら、ブレーキとアクセルを踏み間違えたようです。

 この写真は正面からなのでわかりにくいのですが、ブロック塀が幅5mほど折れて家にもたれています。  この分では、Mさんの家もかなりの被害が・・・(Mさん宅は5年程前に私共が新築しました)

 私「こんにちは、Mさん。エライ目にあいましたネ~」
 Mさん「ソウなのよ。びっくりしました。すぐ玄関に行ったらこんなになっているのよ。モ~本当に」
 私「誰も怪我はなかったんですか」
 Mさん「ソレハ、大丈夫です」
 私「ソレデですね、車の損保会社のほうはどうしてます」
 Mさん「(名刺をだして)ハイハイ、ここです。知り合いの建築屋さんがあれば連絡をとって下さいと言われたので、アラキさんに電話したの」
 私「エ~ト、ここですか。ア~代理店の人ですね。それでは私がすぐ連絡入れます。あとは私がやりますから、大丈夫です」
 Mさん「じゃ、あとお願いしますね。私、出張に行きますから」

 これが家の中の上部。 わかりにくいですが、壁の真中がふくらんでいます。

 腰壁は、ぱっくりと口が開き、破れています。
 この場所からすぐ代理店の人に連絡します。

 私「モシモシ、私Mさんから連絡を受けたアラキ工務店の村上です。事故の件です。今現地で見ています。スゴイコトになっていますネ」
 損保代理店「ハイハイ、ソーナンデスヨ。それでですね、アノー、修繕の見積もりを出してもらえますか。どれぐらい傷んでますかネ~」
 私「ウ~ン、壁のまん中がふくらんでいるので・・、柱が下で折れて動いているでしょうね。その両横の柱もダメかも」
 損保代理店「エ~、ソーナンデスカ。ハイハイ。そのあたりの傷んでいるところの見積もたのみます。それを、私のところと、損保の京都支社の担当者にも送ってください」
 私「ハイ、じゃ、出来上ったら両方にFAXします。原本は損保担当者に送ればいいですネ」
 損保代理店「エエ、それでいいです。後は担当者とお話をたのみます。よろしく」
 
 事務所に帰り、見積り書作りです。すぐ出来たので、両方にFAXを送り、着いたころを見て、損保担当者に連絡を入れます。
 
 短いアイサツの後に、
 私「スゴイコトになっています。見られましたか」
 担当者「イエ、まだですが、代理店から報告は受けています」 私「FAXを送りましたが、どうですか?」 担当者「エ~ト、追って連絡を入れますので・・・」 私「わかりました。ただ、それはそれでいいんですが・・・。ブロックを、バリケードで囲うか何かしないと、近づくと危ないんです。あなたとこ誰か、そんなことする人いますか」
 担当者「イヤ~、おりません」
 私「う~ん、じゃとりあえずこちらで囲っておきます。よろしいですか?」
 担当者「ア~、そうしていただくと助かります。お願いします」 私「イヤ、そんなことぐらいはいいんですヨ。ブロックの解体修繕もうちで見積っておきましたが、よかったですか?」
 担当者「ア~、助かります。塀は持ち主が別だけど、一緒にしてもらえると一度に済んで、いいと思いますが」
 私「それでネ、とりあえずブロックを先に解体すればどうですか。あの状態でおいて置くのは危ないですよ。」
 担当者「・・・」
 私「解体だけ先行すればどうですか? それぐらいあなたの判断で出来ないの」
 担当者「ソウデスネ~ ウ~ン、わかりますけど、もう少し待ってください。すぐ返事しますから」
 といって、一度電話を切ります。
 少し後に、鑑定人(査定する人)から連絡が入ります。
 鑑定人「モシモシ、エ~ト、現地でお話したいのですが」
 私「ア~、ハイハイ、結構です、では」
 現地で打合せ
 鑑定人「エート、これ結構かかりますネ」
 わたし「そうですね。コレとコレとコレを、こ~直して、アレをコ~して、ア~します。あとは解体して、内部をチェックしながら工事しますが」
 鑑定人「ソウデスネ、それしかやりようがないですネ。エ~トじゃ、ブロックの解体修繕も同時にしてもらえますか。あとは本社をと相談して金額を決めますが、よろしいですか」
 私「エエ、それで結構ですよ。あまり低く査定したらダメですよ。事故の復元は思っている以上に色々とかかるんだからネ。良く知っているでショ」
 鑑定人「エエ、ワカッテマス。そのあたりはちゃんと考えています。すぐ返事しますから」
 といって別れます。
 すぐ損保会社から返事があり、
 損保会社「じゃ、この金額でこの内容でお願いします」
 私「ハイ。ワカリマシタ。じゃ、すぐかかります」
 と返事してすぐかかります。

 すぐにブロックを解体し、つづけて外壁も解体します。
 内も外も解体し、ダメなところをチェックしながら行います。
 予想通りの損害でした。

 工事は進み、内部外部も復元しました。

 外部はサイディングから塗り壁、吹付仕上にしてあります。
 保険会社からは了解をもらっています。
 このように、保険会社の代理店、担当者、鑑定人といった人々と、工事の内容や、金額の話をしていきます。
 こういった場合、全て確定しないと手が付けられません。
 どうせ解体するんだからブロックぐらい危ないから先にすればと思うのは、建築屋の性なのでしょうか・・・

 しかし、車のドライバーは、あれだけの衝撃であれば、当たった瞬間に何が起きたか、ワケがワカランぐらいにしばし呆然とした状態になっていたでしょうに・・・
 気の毒なことです。どれだけのスピードで当たったのかな?
by 幸 男
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