アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

蛸薬師 京町家

 一通のメールからプロジェクトが進行。基本計画から工事着工まで約2ヶ月という短い準備期間で施工させて頂いた京町家/町屋の改修工事です。
 
 給排水衛生設備、電気設備、空調換気設備などは全て一新。また、御施主の希望によりガス設備を撤去。オール電化京町家/町屋に生まれ変わりました。
(瓦斯屋さんごめんなさい・・・)
 
 今回は全ての画像に、施工前・施工中の画像を掲載しています。

町屋リビング
リビング

 中の間とミセの間の間仕切りを取り払い、リビングとして広く使えるように工夫しました。
 
 もともと、和室でしたので、襖がはまっていたのですが、洋間に改修するのにあわせて舞羅戸に作り変えています。
 
 今回、床下は、全て配筋・防湿シート敷の上、土間コンクリートを打ちました。この工事に伴い、トラック3台もの残土を処分しています。

町屋出格子
外 観

 外観です。
 
 もともと、下屋がかなり痛んでいて、出格子も下がっていたのですが、下屋は取替え、出格子は補修し、地覆も入れ替えました。
 
 格子戸の中には、ペアガラスを組み込んでいます。
 

町屋ミセの間
ミセの間

 ミセの間から玄関土間と台所を見ています。

 間仕切りを取ったのでスッキリしています。
 
 玄関の下駄箱は新しく松材で新調しました。床下・敷居・床板すべて足回りを新調したので、全体に段差がなくなりました。

町屋ダイドコ
ダイニング

 正面の収納は、楢積層材で材工し、外部は杉板を貼っています。
 
 この収納の裏側に電子レンジ・炊飯器・ポットが納まっています。
 
 大和天井はもとのまま。この天井に合う照明器具はお施っさんが選ばれました。

町屋台所
台 所

 キッチンは、松下のGeneo。結構上等のシステムキッチンです。

 左手前の壁面に見える部分は、Fit-Iの家具収納。
 すごくたくさんあった食器類を全て収納内に納めることができました。

町屋奥座敷
奥座敷から表を見る

 奥座敷です。表面的な内装以外はほとんどそのままです。
 但し、構造体は、大黒柱(左奥)付近の沈下が一番著しく約15cm程度。『揚げ前』で水平に戻し、『イガミツキ』で垂直に。建物の基本『みず』と『たち』が蘇りました。『揚げ前・イガミツキ』により、不足した柱は根継を施しました。

町屋広縁
広 縁

 広縁はやりようがないので、一旦ばらして作り変えています。

 化粧野地・垂木・アルミサッシなども全て新調しています。
 
 床脇に欄間があったのですが、1Fの壁量バランスを取るために壁とし、広縁側に収納を新設しました。
 (フラッシュ戸の面材は、桜突板です)

町屋2階
2階中の間から奥座敷を見る

 2階中の間です。
 階段を上がったところの手摺は新調。
 奥座敷と手前の子供部屋入口部分はよく歩くので、畳1枚半分板敷に変えました。
 天井は前のままですが、天井裏に登り糞掃除&天井板吊直し+断熱材100㎜充填した上で、4回以上お湯で拭きあげました。

 手前の部屋に段差があるのは、厨子2階建で、2Fの天井高を確保するためです。

町屋吹抜
納戸

 旧納戸の天井をめくったら素敵な荒壁がでてきたので、あえて天井を貼らずに吹き抜けとしました。
 
 その代わり、母屋の間に断熱材を充填し、下からプラスターボードを張り上げ木目調クロスを張っています。

町屋 裏庭
裏庭 浴室棟

 裏庭には大変たくさんの植木・残材が残っていましたが、今回の工事をきっかけに、できるだけ廃棄して頂きました。おかげでスッキリとした広い庭ができました。
 植木類は元々現場に合ったものを再利用しています。

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町屋 表柱根継  意匠は、既存を生かし出来る限りシンプルに。一つの空間に3つ以上の色及び材料を使用しない様に注意。また、空間の『体積』を変えないように施工しました。
 工事金額の割合で考えると『構造改修50%、設備工事35%、意匠15%』。工事予算をうまく分配できたと思います(京町家/町屋の場合、構造改修がそのまま意匠になりますが)。
 今回のプロジェクトは、長年蓄積され、複雑に絡み合った糸を丁寧に解いてゆく様な作業でした。その糸が解けて、整理できた時の快感をお施主様と共有できた事を、大変うれしく思います。
現場監督 小野 敏明 
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