府庁前の京町家
比較的街中にある、明治末期に建てられた二階建ての京町家です。当初現場調査したときはさほど傷みはひどくないと思われていましたが、解体を進めると、梁や柱の蟻害、腐朽がみられました。
部分改修でご予算を抑えてのスタートでしたが、ご相談しながら傷んでいる部分はきっちり直すことになりました。
今回は、冨 家 設計事務所さんからお仕事を頂戴しました。
京町家のリフォーム 1) 施工
給排水管、ガス配管、電気配線は全て新調です。
ミセの間は出格子の敷框が蟻害にやられていて取り替えることになりました。
2Fオモテも雨漏りの影響か、梁が蟻害にやられていてかなり危険な状態でした。
ある程度解体できたところで足場を組みます。
2Fオモテはアルミサッシを撤去し、昔ながらの雰囲気に戻すため、付柱や付鴨居などを入れていきます。
小屋裏にも潜って構造材の補強をしていきます。
夏場で暑い中、職人さんご苦労さまでした。
ミセの間は畳敷です。断熱材+杉板で下地をしています。
座敷は基本的に既存のままですが、床脇まわりなど、傷んでいる部分を修理して行きます。
大工が終われば左官です。荒壁土を塗りなおしています。
こうして書くとあっという間ですが、実際は4ヶ月以上かかりました。
京町家のリフォーム 2)竣工
伝統的な町家の外観が蘇りました。オタフクの建具と虫籠窓は新調しています。
ミセニワは三和土風洗い出し仕上です。沓脱石も据え直しをしています。玄関建具は新調ですが、ミセノマの建具は再利用しています。
ミセノマは構造体の修理と内装替えをしましたが雰囲気は昔のまま残しています。
ハシリは、火袋部分の既存突板に似た感じで壁を仕上げています。
ザシキの水平垂直がとれて、背筋が伸びた感じです。
庭はいつものとおり松本君にやってもらいました。
雑然としていた前栽がきれいになると嬉しいものです。
2Fオモテは窓の内側に紙張障子を新調し、畳敷から杉板張に変えています。
水廻り棟は傷みがひどかったため、構造体のかなりの部分を入替えています。
化粧の桧柱がきれいだったので、あえて塗装をせず白木で納めました。
足元が傷まないように、犬走りを大きく打っています。
そのまま残す部分と新たに工事をし直す範囲の見極めが難しかったのですが、自然な仕上がりになるように大工さんが工夫してくれたおかげで、工事をしていない範囲までも含めて、家全体がすっきりと、格好が良くなったと思います。
この家に思い入れのあるお施主さんには、とても喜んでいただき、職人や私にとっても嬉しい経験になりました。ありがとうございました。