アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

注文住宅 古材を使った家(続)

半年後:棟上、そして今・・・

NL Iさんのあたらしい家の建築が始まりました。大黒柱と梁を新しい家に使うことにしました。
NL 自分の成長を見守ってくれた大黒柱や梁への感謝の想い・・・ それを絶やしたくないと想ってはじめたIさんの家作り・・・ 3年の月日をかけて実現しました。幼い頃から慣れ親しんだ大黒柱は、今日もIさん一家を見守っています。

羽塚 あのー、ここにこうテープが貼ってありますが・・・ これは、何ですか?
 そうですね、前の家でもやってた事なんですけど、大黒柱なんで傷つけるわけにいかないんですが、小さい頃やってたんですが、セロテープで子供の背丈を計って・・・
羽塚 今、こう、テープがありますが・・・
 これは、今、娘たちのですね。まあ、こう気持ちの上でね。全部ではないんですが、大事な物を残せたなと、思っています

※ 実は、この大黒柱、足元が腐朽菌にやられて痛んでいたので、かなり苦労して根継をしたものです。根継跡は床下で見えなくなってしまいましたが、上の棟上の写真を良く見ると足元が白く継いであるのがわかると思います。良い仕口で根継をすると、新材のような強度をだすことができます。

NL 他にも意外なところで古材をみつけました。

 こちらは、手摺なんですけど
羽塚 これもちょっと黒光りしてますね。
 そうですね、これは、庇の下に「垂木」というかたちで前の家で使われていた部材なんですが、ちょうど階段に合うので使ったんですよ。
NL そして、こちらが玄関にある靴箱です。(玄関にもちだして、ひっくりかえす・・・)

羽塚 これは、本来はこういうものなんですか?
 そうです、こういう形で・・・
羽塚 ポンポン、ポンポンと、こうなってたんですね。
 屋根裏部屋のあやしげな空間に使う、遊ぶ時に使う階段だったんですね。

竣工当時を振り返って

柿沼 というわけですね。
萬田 古材をうまく使ってますねーーーえ。あの下駄箱には感心させられますねぇ。あれは、どう・・・
柿沼 直接聞いてみましょうよ。今電話がつながっています!(電話との会話)
柿沼 Iさん! いやあ、うまいこととりいれましたねえ。階段は誰のアイデアなんですか?
 あれは、私がアイデアを出して作ったんですけれども。
柿沼 よく、ひっくりかえすという事を考えましたねえ。
 そうですね。取りあえず残しておいて、後で考えたんですけれども・・・

柿沼 それから、アンケートを書いたり、設計士の方ともずいぶん良くコミュニケーションを取っておられましたね。この辺も大事なポイントなんでしょうか?
 そうですね。やはり木造で古いのを残すとなると、自分でも勉強していかないと思うように建てられないですね。そういう面ありますね。
柿沼 そうやって自分の想いを伝えて、形にしてもらうということですね。その想いなんですが、前のおうちへの想いがずいぶんあったようですね。

 そうですね。たとえば、玄関のあがりぐちのところに、踏み台で昔の縁側の板を使っているんです。これは、小学校5・6年の頃に父親と喧嘩して家でするとかいいながら寝袋をもっでたんですが、行くところもなく、縁側の下で寝てたんですね。そうしたら、父親が一所懸命探してくれる気配を縁側の上で感じるんですよ。それで、悔い改めて帰ったりとかね。大黒柱も同様の思い出があるんです兄弟喧嘩して、上の方になんとかのアホーとか書いてたりね(笑)。
柿沼・萬田 はははは(笑)。
 そういう思い出がいろいろありますね。

柿沼 でもね、古材を使う事にたいして奥さんとか、お子さんはどういった反応だったんですか?
 そうですね。私の実家だったんで、妻はそれだけの思い入れはなかったんですが、できあがってから、割りと調和してたんで、良かったなとはいってくれてますけどね。 柿沼 できたおうちは気に入ってますね。
 そうです。もちろん、はい(笑)。

柿沼 わかりました。ありがとうございました。(電話終わり)
柿沼 ううん。こたえられないでしょうね。自分の思い出がいっぱい詰まっているところがね。
萬田 そうですね。なんとかのアホというのが書いてあるところがね。
柿沼 以上、「古材を使ったリユース」、Iさんの住まいを御紹介しました。

☆☆ 写真提供:日本放送協会 ☆☆
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