アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

B.H市 古民家(産経新聞2003/5/25)

 H市で古民家の再生をしていたところ、新聞に載せていただくことになりました。大変ありがたいことです。
 かなり、大きなお住まいで、着工から完了まで10ヶ月。弊社からは通えないため、アパートを借りて泊りがけで工事をさせていただいた現場です。

生活改革 天然材を生かす

足達君
工事中のスナップ
真ん中にいるのが足達くん。後ろにいるのが築山くんです。

 リフォームをするとき、それまで使っていた戸障子などは、たいてい廃棄してしまうものです。でも使い慣れた建具には愛着を感じるものも少なくありません。そんな家族と暦史をともにした建具を見事に再利用したリフォームもあります。

 大阪府H市に三百年近く前の江戸時代に建てられた古民家が残っています。かつて積み荷を満載した剣先船が行き交うにぎわいをみせた石川沿いのこの家の母屋や蔵は、農産物などの集荷を行う豊かな商家の面影をいまに保っています。

 その家も阪神大震災などで傷みも進んだことや、現代の生活には使いづらいこともあって建て替えが考えられるようになりました。

板格子
リビングと奥のダイニングを仕切る
板格子が独特の味わいをかもし出す

 依頼を受けた大阪ガスグループ「KBI(関西ビジネスインフォメーション)計画」の森山佳嗣さんは、完全な建て直しではなく「再生」を提案しました。現代家屋には見られなくなった力強い柱や梁で組み立てられた骨格や古民家の重厚な味わいを残した快適な住まいづくりが可能と思ったからです。

 古民家の再生に力を入れるアラキ工務店(京都市、荒木正亘社長)の手によって八つの部屋や土間に細かく仕切られていた建坪六十坪の母屋はゆったりした間取りにリフォームされました。

 このリフォームで目を引くのが、多くの古い建具が利用されていることです。玄関の土間に使われていた桧の板格子はリビングとダイニングを分ける引き戸に。杉の板と桟でできた舞良戸も各部屋や洗面所などの仕切り戸に、それぞれ生かされているのです。

舞羅戸
再利用された板格子(左)と舞羅戸

 荒木社長によると、これらの戸障子は家の建築当時のもので、わずかな補修と塗装で三百年近くを経ても立派に通用するそうです。結局、もとの家に五十枚ほどあった戸障子やふすまのうち三十二枚が再利用され、懐かしく、あたたかい雰囲気を家全体に漂わせることになりました。

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