アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

家づくりヒント集 1 ~畳・火袋・建具・外観~

 The House さんに依頼された書籍原稿です。家づくりのヒントになるかとおもい、掲載してみました。
 いずれも、京都や町家特有のこだわりかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
 出版時は文章をカットされるので、こちらのほうがより詳しくお伝えできるかもしれません。 本も買ってくださいね(^^)  

たたみ・畳

(和室だけではなく、いろんなところに畳を敷きましょう)

火袋・吹き抜け

(開放的なだけではなく、空気対流面でもすぐれています)
町家の間取
 京町家は、京都市内に数多く残る建物で、間口が狭く奥行きが長い職住一体型の住 まいを指す。表通りから真直ぐ延びる土間に沿って室が並ぶ間取りが一般的。
 
廊下の畳
 ハシリの奥にあるキッチンより火袋を見上げる。 壁は上塗を落とし荒付の上漆喰塗。木部はワビスケ塗(ベンガラ+玉墨塗料) 屋根と外壁をきっちり断熱施工する事が快適さの最大のポイント。
 
畳敷の間取
 木置(ミセニワ上部)からキッチンを見下ろす。 こちらも同様の仕上。床暖房+天井扇で空気の循環を図る。

 『火袋』とは、京町家にある吹き抜けをさします。(図版)
 土間は全体を『トオリニワ』と呼ぶが、そのうち一番奥にある炊事場を『ハシリ』と呼びます。『火袋』は、この『ハシリ』上部の空間を指します。竃の火がまわりに燃え移っても、火は吹き抜けを通って上にあがるため、隣家や室に延焼する事はありません。火を閉じ込める事から『火袋』と呼ばれているのです。
 火袋には、通常、外壁側の側柱2本ごとに室側の軸組と繋ぐ側繋梁があり、間口が広い立派なお住まいには準棟纂冪とよばれる立派な束や貫の木組が見られます。屋根裏まで土壁が塗られている大きな空間は、今では製作することが困難な仕様です。しかしながら、収納スペースを優先するあまり、ふさいでしまうケースが多くみられます。大変もったいない事です。
 横に広がる和室の続き間から通り庭に入ると、縦に広がる火袋見上げることができます。天窓を大きいものに入れ替え、天井・壁に断熱施工を施してやれば、明るく暖かい快適な空間ができあがります。きっちり断熱してあげると、1Fで暖められた空気が火袋を通って2Fに登り、階段から降りてくるため、ヒートショック(部屋毎の温度差による身体への影響)の危険も防止できます。
 ハシリに薪ストーブを設置されたIさん(京都市中京区50代)はこういいます。
「家全体が暖かくなって快適です。火袋に面した窓から2Fの各部屋に暖気が入ってくるので、局所暖房が要らなくなりました。部屋を増やそうかとも思ったのですが、光もキッチンに降り注ぐので、火袋を残して正解でした」。
 但し、リフォームには注意が必要です。長い間手入れされていないと、荒壁に油がこびりついて、中塗から剥落し費用がかさむ場合もあります。また、火袋を物置などに改造されたりしていると側柱が傷んでいる場合もあります。側柱は通常の柱と違い断面が正方形ではないため断面欠損が生じている場合は座屈しないための補強が求められます。

【火袋・吹き抜けの設計】
 以下の3点が特に重要です。
 (1) 耐力壁
「町家は揺れて地震に耐える」といわれます。ただ、実際にはキッチンパネルがついた り床暖房をしたりと構造上揺れない設計にする事があります。そんなときは、建物全体 でバランスよく袖壁や小壁を設置する事が重要です。
 筋交等でガチガチに固めるのも難があります。下地に木摺を打ったり、端板を詰張し たりして工夫しましょう。
 (2) 掃除
 一般の方にとっては、昔のように年末に大工さんをよんで掃除してもらうのは困難で す。埃がたまりにくくするのはもちろんですが、また、たまっても掃除できるように工 夫しましょう。木置の戸を残したり、2F室内窓をつけたり、梁上にちょっと足が乗せ られるようなキャットウォークをつけるのもいいでしょう。照明器具の電球交換ができ るかどうかもポイントです。壁際に凹凸をなくして敷きやすくしましょう。
 (3) 暑さ対策
 断熱被覆はもちろんですが、暑さにも注意が必要です。
 夏は上部に熱がこもります。季節によって排気できるように棟あたりに換気扇をつけ たり、開閉式の換気棟を組んだりしておきましょう。
 天井扇をつけるのもよいのですが、長い間使わないと埃が舞うので、設置するときは ときどき使うようにしましょう。
【火袋・吹き抜けの注意点】
 (1) 小動物の侵入を防ぐ
 リフォームする際は、鼠などの侵入動物がこないように床下にネットを張ったり、屋 根裏にある垂木の隙間に土を詰めたりしておきましょう。
 一度施工すると、手が届かない場所なので、気をつけるとよいでしょう。
 (2) 床を張るときは点検口
 通常の町家では、火袋の下に雑排水管・汚水管がとおります。
裏にある浴室・トイレ・洗濯機の排水はもちろんですが、台所の排水も合流しています。 数年に1回は枡の掃除をしておいたようがよいので、枡の上に点検口を設けておきまし ょう。
(アラキ工務店 荒木 智)

建具・間仕切り

(季節によって取り替えられるようにすると快適です)

外観・ファサード

(街並みにあった意匠を考えるとよいでしょう)
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