アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

家づくりヒント集 1 ~畳・火袋・建具・外観~

 The House さんに依頼された書籍原稿です。家づくりのヒントになるかとおもい、掲載してみました。
 いずれも、京都や町家特有のこだわりかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
 出版時は文章をカットされるので、こちらのほうがより詳しくお伝えできるかもしれません。 本も買ってくださいね(^^)  

たたみ・畳

(和室だけではなく、いろんなところに畳を敷きましょう)

火袋・吹き抜け

(開放的なだけではなく、空気対流面でもすぐれています)

建具・間仕切り

(季節によって取り替えられるようにすると快適です)

外観・ファサード

(街並みにあった意匠を考えるとよいでしょう)
犬矢来
 犬矢来。材料費は安いが釘代と手間がかかる。柱の足元を傷めないように・動物を寄せ付けない・自分の敷地を誇示するなどの意味合いがあると言われている。
 
つばどめ
 つばどめ。杉の焼丸太に竹を渡し縄で締めたもの。竹は2本組みまたは3本組。
 
駒寄
 駒寄。もとは牛や馬を繋ぐための柵だと言われている。
 
軒を揃えた町並
 下屋が揃う古い町並み。このような景色もめっきり減ってしまった。

 自分の家だけが目立てばよいという考えは捨て、町並みに合った外観を考えるのもよいでしょう。昔は、「隣の家の軒にあわせて自分の家の軒の高さを決めた」といわれています。同じ町内の建物は、同じ町内の大工さんに施工していただく事が一般的でした。犬矢来(ミセの間から道路境界までの間のスペースの足元に、高さ2尺程度まで割竹を丸く湾曲させ、貝折釘で止めたもの)や駒寄(家と道の境界にめぐらせた、高さ1m程度の格子の垣根・柵)も同様にそろえてしつらえました。そのため、戦前の建物が連なっているところは、大変調和がとれて素敵な空間を構成しているのです。
 アルミサッシがついた古家のファサードを改修し、出格子を復元されたSさん(京都市中京区40代)はこういいます。
「このあたりには町家が多く残っています。僕たちも早く地域に溶け込みたいと思い、伝統的な意匠を尊重する事にしました」。
 また、高塀の前に犬矢来を設けたHさん(京都市左京区60代)はこういいます。「昔からこの通りは犬矢来をつけるものだと伺っていたので、大工さんにお願いしました。特にこだわりはなかったので、お任せしました」。
 現在は、個人の自由意志が尊重されているため、どのようなお住まいをつくるのかは施主さん次第です。しかし、そのため、継ぎはぎだらけで統一感の取れない町並みになってしまうのは残念でなりません。ヨーロッパでは今でも街に建築委員会というのがあり、建築プロジェクトを審査し、安全はもちろん色と形の指導を行う。こうして、街並みを役所が守っているのです。
 日本でも、昔は外観をそろえるのがあたりまえでした。町家が軒を連ねる京都市中心部では、主屋根は互い違いに高低があるが、下屋の軒端の線は1丈4尺でほぼ水平にそろえられていました。通りごとに同業種が集中するため出格子の形状も揃い、結果として街並みの意匠が統一される事になったのです。奥行きの長い大店でも、軒を深くしたり、表屋造にすることで軒高の統一に協力していました。
 
 古い街並みが残る地域に駐車場を作る場合、無粋なアルミのシャッターは止め、少し無理してでも、木製の建具をつけ、デザインを隣近所にあわせるのがよいと思います。外壁の位置も、道路一杯にださず、向かいや両隣と同じように深い下屋をつけて意匠をそろえるようにしたいものです。長い間住む家です。近所の人々と関わりあいながら生活する空間をつくるように心がけたいものです。

【外観・ファサードの注意点】
 (1) 建築法令を守る
 街並みを守ろうとしても、法規上防火地域・準防火地域に入っている場合は木部の露出に制限があります。大変残念ですが、住宅密集地では大抵ダメです。京都では先斗町・西陣といった地域がそれにあたります。ただし、『既存不適格建物』といって法令が施行される前に建った建物については、『違反だけれども罰則はない』といわれています。
 (2) 早めの確認をとる
 地域ごとの「街並み条例」により、建築確認申請の前に役所にて景観の事前申請が必要な場合も増えてきました。京都では『新景観法』がこれにあたります。新築の際は早めに調査して可能かどうか確認しておきましょう。
(アラキ工務店 村上幸男)

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