アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

上手にリフォーム業者とつきあう方法

日時:2001年3月2日14:00~
会場:ニッセイライフプラザ京都

ライフプラザでは、週1回のペースで無料公開セミナーを開いておられます。内容は、生命保険や投資信託だけでなく、能やお茶・陶芸等さまざまな分野にわたっています。今回もその一貫として催されました。

リフォームの考え方

 私は、660社ほどの建築施工業者の集まりである『全京都建設協同組合』という団体の理事長を務めております。建設業というと不況のど真ん中にいる業界ですけど、そこに身を置く同業者の取りまとめを行っております。ちょっと景気が悪いので辛い立場ですけど(笑)
 そうした業務の関係上、さまざまな方から、リフォームの相談を受けているわけですが、コツが分からずに困っておられる方が以外と多いなあというのが実感です。
 そこで、今お集まりの皆さんに、どうやったらいいリフォームができるのか、私が常日ごろ感じているコツをお伝えできればなあと思っております。

 たとえば、コンセントを例にとってみましょう。便利さだけを追求するのでしたら、ここにも欲しい、あそこにも欲しいと、いっぱいつけておけば便利だと思われるでしょうけど、あまり増えるとお金がかかりすぎますね。それでいて、箪笥の後ろに隠れたりする(笑)。
 同様に、雨戸なんかも、あちこちつけておいて全然閉めないお宅とか、「近所の奥さんも買ったわよ。ガスレンジいいわね! 七面鳥も焼けるのよ!」といって、結局物入れになってたりするお宅が結構あります(笑)。
 もちろん、どれも、あれば便利だけれど、結局無駄になってしまい、本当の使いやすさとは別のような気がします。
 コンセントにしても、数つけるのではなく、本当に使いやすいのはどこか考えて設置する。例えば、床からの高さは+15cmと決めるのではなく、電子レンジに使うので+80cmとか、用途に合わせて考える。それが使いやすさだと思います。
 また、幅1.8mの洗面台が欲しいとしましょう。確かに豪華ですね。でも、本当は1.2mの洗面台+整理ダンスのほうが使いやすいのではないでしょうか。

1.初めて大きな仕事をさせる場合、業者をまず信用する。

 さて、リフォームといいますと、襖紙の張替といった数万円程度のものから、キッチン・フロの入替といった百万以上するものまでさまざまですね。ただ、いずれにせよ、近所の八百屋で白菜を買うようなわけには行かない金額ですので、目の前にいる業者が信用できるかどうかを確かめたいというのが当然だと思います。

 業者の力量を確かめる一番いい方法は、『自分の不満を話してみる』ことだと思います。洗面所が寒い・流しの使い勝手が悪い・敷居でつまづく……、等々、なんでもいいんです。そうすると、3つも4つも答えが返ってきます。例えば洗面所が寒いというと、「断熱材を床下に入れる」「洗面所兼用のカワックをつける」「洗面台の下にケコミ式の電気温風器を設置する」「サッシをペアガラスに変える」等々、幾らでも出てきますね。その後、その一つ一つについてわからんことをいっぱい質問すればいいわけです。何回もいろんなことを聞いてみて、業者にどのくらい知識があるか確かめられればいいと思います。そうすると、自分でどうリフォームしたらいいのか納得できますし、業者さんの仕事に対する姿勢(高いものばっかり勧めるのか、自分の身になってくれているのか)が分かると思います。
 さっきの洗面所の例でいきますと、「厚手のカーペットを敷く」という回答でもいいわけです。
 そうして言葉のキャッチボールをしていくと、だんだん業者さんの考えとかわかりますね、それで、信用できると判断されてからおまかせすればいいと思います。
 よく、「何回もきてもらって気の毒だから、頼もうかしら」といわれる方がおいでですが、これはダメですね。お互い気持ちがピタッと合うことが一番大切です。そうでないと、施工したあと、必ず不満がでます。
 信用するのが不安でしたら、「樋がはずれた」とか「建具の調子が悪い」という小さな仕事を頼めばいいと思います。そういう小さい仕事が上手にできる業者は本当にいい業者だと思います。
 皆さん誤解されるかたが多いのですが、大きい仕事の方が簡単です。監督がいて、工程も決まっていて、段取りよくできます。でもできてあたりまえなんですね。いいかえると、経験なくてもできるのが新築だと思います。
 でも、リフォーム、特に小さい仕事の場合は経験が必要です。いろんな業者も絡みますしね。
 そこで、小さい仕事が上手くでき、仕事の大小にかかわらず熱意を持って取り組んでいただけるようでしたら、信用されたらいいと思います。そういう業者を見つけるのが、リフォームを成功させるための第一条件だと思います。

2.設計・計画にあたっては、慎重に

 さて、設計と施工とは本来は分野が違うということを頭にいれていただかなくてはなりません。
 大きな仕事になると設計事務所が入る場合があります。
 設計事務所というのは『ユーザーの欲しいものを図面にして施工業者に渡す』仕事ですし、工務店はもらった『図面を元にきっちり施工する』仕事です。

 さて、リフォームはどうでしょう? 数十万の家のリフォームに設計事務所を使われますか? 使われませんよね。そういう場合は、工務店さんが設計事務所さんに代わってユーザーの希望を聞かなければなりません。設計の仕事はリフォームでも必要なのです。
 たとえば、リビングのリフォームを考えられるとすると、少なくとも2案は作ってもらいましょう。1案だけ提出されたら、判断がつかないでしょ? 2案つくってもらって、それぞれのメリット・デメリットを教えてもらいましょう。もちろん、費用がどのくらい必要かもきくんです。
 大工さんが図面を一つ持ってきたとしましょう。「うーん、扉はこっちにつけてもらおうかな」といったら、「はいそれはやっときますから心配しないで下さい」・・・これはダメですね。できあがりの使い勝手がわかりません。扉の位置一つにしても、A案・B案だしてもらって、「扉以外の仕様はこう変わります。メリット・デメリットはこれこれです」といってもらわないといけません。

 設計ができたら、次に工事に付随する費用・工事の期間を検討する必要があります。
 工事中のトイレ・フロ・キッチン・仮住まい等、結構いろいろ掛かります。
 リフォームの場合は、たいてい工事期間中もお住まいになっている場合が多いですけど、人によっては生活のパターンが崩れることがあります。うちのお得意先に先斗町のお茶屋さんがあるんですけど、「必ず8時に起されるので大変」とおっしゃっておられました。夜の遅いご商売ですしね。
 また、生活が乱れるということについては、設計と一緒に工程表をもらいますが、無駄があるかどうかしろうとにはわかりません。
 「1ヶ月でやってください。それなら契約します」「はい、なんとかします」といって、結局やりくりがつかず、人手が足りなくてバタバタすると大体仕事が悪くなります。最近のお客さんは、図面を4回も5回も書きなおして、見積も何回もやって、さあ!決まった! となったら、「早よやってください。正月までにできますか?」とくる(笑)。
 俗に「饅頭買っても包む間がいる」というように余裕をもってやってもらったほうが絶対いい仕事ができます。
 ユニットバス一つとっても注文してから3週間かかりますね。注文するまでに色とか形とか仕様とか決めなければなりません。それほど時間がかかるんです。ユニットバスを据えてから壁をつくると目いっぱい隙間をなくせますから、隣接する洗面所とかが3cmでも5cmでも広くなります。でも急ぎの仕事だと、ユニット屋がくるのを待ってられないから、どんどん仕事を進めてしまう。結局はお客さんの損です。

 また、最近のお施っさんは気にされない方が多いのですが、日を選ばなければならない場合もあります。俗に「土用の前2週間は土をいじるな」といわれます。こっちはお施っさんにせかされて急いでやってるのに、おじいさんがでてきて「なんで土用の前にやってるんや!」と怒られるという笑えない話もあります。ですから、われわれは、「はやく、はやく」といわれても、慎重にしんとあかんなあと考えてます。いずれにせよ、工事にかかるまで、ゆとりを持つ事が大事だと思います。
 昔は、『寒普請』といって、寒い時期に荒壁を塗り、夏になって、壁が落ち着いてから大工仕事をするような習慣がありました。のんびりした時代でしたね。

3.使いやすさと便利さの違い

 たとえば、コンセントを例にとってみましょう。便利さだけを追求するのでしたら、ここにも欲しい、あそこにも欲しいと、いっぱいつけておけば便利だと思われるでしょうけど、あまり増えるとお金がかかりすぎますね。それでいて、箪笥の後ろに隠れたりする(笑)。
 同様に、雨戸なんかも、あちこちつけておいて全然閉めないお宅とか、「近所の奥さんも買ったわよ。ガスレンジいいわね! 七面鳥も焼けるのよ!」といって、結局物入れになってたりするお宅が結構あります(笑)。
 もちろん、どれも、あれば便利だけれど、結局無駄になってしまい、本当の使いやすさとは別のような気がします。
 コンセントにしても、数つけるのではなく、本当に使いやすいのはどこか考えて設置する。例えば、床からの高さは+15cmと決めるのではなく、電子レンジに使うので+80cmとか、用途に合わせて考える。それが使いやすさだと思います。
 また、幅1.8mの洗面台が欲しいとしましょう。確かに豪華ですね。でも、本当は1.2mの洗面台+整理ダンスのほうが使いやすいのではないでしょうか。

 お客さんの要望で、庭に水道を引く場合があります。2つの方法があります。1つは「ビニ柱」と呼ばれる物で8,000円ほどでつけれます。これカッコ悪いけど便利ですね。一方、「埋めこみ型」は2万円くらいかかります。カッコはこっちのほうがいい。でも、いつもホース繋ぎっぱなしで、みすぼらしいお宅が結構あります。カッコにこだわると良くないですね。値段が高くても、必ずしも良くないという例だと思います。

4.見積りの注意点

 見積りの内容は、図面と仕上表で表します。これは必ず業者さんから頂いてください。図面の中で、よく業者は建築用語を使いますが、わからないところは必ず確認するようにしましょう。
 たとえば、「洗面所はCF貼っときます」といわれ、「はい」と答えたがなんのことかわからなくて、後になって「フロアだと思ってたのに」といわれるお客さんがいたりします。
 どの部屋がどういう仕様になるか、見積りの内容を部屋毎にわけてもらうようにしたほうがいいと思います。例えば、リビングは、フロアが幾ら、壁紙は幾ら、建具は幾ら、電気は幾らで、合計幾らという風に……。そうすると、仕様が頭に入りやすいと思います。

 また、安ければ悪いという先入観は捨てたほうがいいと思います。
 たとえば、ボイラーを例にとりましょう。大阪ガスの製品は大体リンナイとかターダとかが作ってます。でも大阪ガスのシールが貼ってあるだけで値引が悪くなる。でも中身はリンナイなのにね。そうすると、ブランドイメージだけで、高いものを買っても、結局損ということもあります。
 また、床下や壁の中など、見えないところの見積りについては、ご心配の方も多いのではないでしょうか。見えなくてもプロは使っている材料と、施工年代を考慮して大体痛みが解るといいます。ただ、リフォームでは「壊してみないと解らない」事があるのも事実です。なれない人だと「めくってみると白蟻が食っていて束からやりなおし」ということもあります。その場合は追加の経費も覚悟しなければなりません。

5.契約はきっちりと

 あたりまえのことですが、大きな工事をされる時はもちろんの事、小さい工事の場合も、口約束はダメです。必ず書面で確認して下さい。リフォームによる住宅ローン減税(1%)の適用を受けようと思うと、確認申請がありませんので、契約書がないと税務署が受けつけてくれません。公的資金を受けようと思う時は注意が必要です。
 また、見積りのなかで、「別途工事」の内容と金額を確認しておいてください。仮設電力・用水、電力引きこみ口まわり、関電申請費、水道市納金、エアコン仕込み配管、照明器具、植木、外構、諸経費……等々、ここをはっきりしないと、後でもめる元ですから、「何が別途か」をはっきりさせましょう。
 また、既存設備の仕様・能力の見極めもして下さい。たとえば、ガス床暖房を予定してるのに、ボイラー費用を見てない場合は、「ほんとうにボイラーを入れ替えないで大丈夫?」と聞いてみましょう。水道工事をする場合も、口径替(13㎜→20㎜)すると10数万の費用がかかる場合があります。今の口径を確認しておきましょう。

 あと、見積りの中で、古い部分と新しい部分がそれぞれどこまでなのか知っておく事が必要です。たとえば、子供部屋のリフォームでしたら、「押入れの中はクロスを貼ってくれるのか」を確認するといいでしょう。そうしないと、後になって、「やっぱり押入れもクロス貼って」といっても工場やロットが変わると、色が若干変わります。タイルも同様です。ですから、クロスとかタイルとか、将来の補修に備えて何枚かもらっておくといいでしょう。

 契約の際に、工程表をどう決めるのか、最終工事日をいつにするのかを、相談しておくことも重要です。業者の言い分(雨、仕入)と自分の生活(子供、共稼ぎ)のバランスを考慮して下さい。工事には音と埃がついてまわります。ご近所のことも考え、休日の仕事や受験前の大規模工事は避けたほうが無難だと思います。

6.施工にあたっての心構え

 好きな色をあまり強調しないようにしましょう。例えば、好きな色がピンクだとしても、同じ部屋にピンクを2種類使うと、どちらかが必ずボケます。ピンクタイルにピンク便座は止めた方が無難です(笑)。
 わたしたちは、お客さんがどんな色が好きか考えて提案しますが、大体のご家庭の場合、子供さんの七五三をみるようにしてます。大体の奥さんは子供に好きな色を着せたがりますからね(笑)。
 ただ、あまり全部お客さんが決めるよりも、どこか1ヶ所残して業者に決めさせたほうがしっくりいくことが多いと思います。たとえば、壁と床は決めてもらって、天井は業者とかね。本音をいうと言われたとおり貼るほうが楽なんですけど・・・

 また、業者の得意とする商品をできるだけ使ったほうがいいと思います。業者によって、得意とする(安く仕入れられる)メーカーは異なります。最初に持ってくる見本は一番安く仕入れられるメーカーです。次にもってくる見本は少し高い仕入れです(笑)。
 そうすると、最初の見本で決めれば、少々追加がでても「いいですよ」と笑って答えてくれますが、次の見本で決めれば、掛け率が悪いので、「追加料金をいただきます」ということにもなります。これは、結局お施っさんにとって損だと思います。最近はどこのメーカーでもあんまり性能はかわりませんから、業者さんに気持ち良く仕事をしてもらったほうがいいのではと思います。

 工事中の問題で頭を悩ませている人も多いと思います。
 まず、職人さんへの心配りですが、昔は「風呂行き銭」とか「おやつ」とかを頂いたりしまいましたが、今はたいていの工務店さんは一切不要といわれてます。私たちは「おやつ持ってきたら値段があがるよ」なんていってます。3時前に持ってきてくれるんならまだしも、3時半頃にだされると、休憩時間が延びてしまいますし。また、足場の上のほうにいるのに「甘酒作ったよ! 冷めるから早く降りて!」なんて言われても、困ってしまいます(笑)。もちろん、現場にはしょっちゅう行ってもらったほうが、職人さん喜ぶんですけど、手ぶらで結構だと思います。
 次に、自分の生活のリズムを崩さないようにしてほしいと思います。そうしないと工事の後寝込んだりされます! 「子供迎えに行かないと行けないのに、おやつの時間だ! どうしよう」なんてことで悩まないで下さいね。
 3つ目は、隣近所との付き合いは気をつけてください。工事というのは音と埃はつき物です。隣近所には辛抱をしてもらっているはずです。ねたみもどこかでありますから、頭を下げておいてそんなことはないと思います。

7.その他

 住まいをみれば住んでいるひとの性格がわかるといいます。同じ団地でも1軒1軒違いますね。京都の古い町家なんかは、朝起きたら、道の掃除とかされてます。これは文化ですね。家の中も同様に文化が現れると思います。リフォームされたら、是非粋な空間を作っていただきたいなあと思います。

 あと、デザインですけど、飽きのこないデザインが結局は得だと思います。目立たない位で丁度いいですね。奇をてらった家もいいんですけど、20年後40年後もその家に住むんだということを考えていただきたいと思います。
 最後に、アフター(無料)とメンテ(有料)の違いを知っておいてください。たとえば、お風呂ですが、説明書に「マイナス6度以下になったら水を抜いてください」と書いてあります。これを読まなくて壊れたら、お金かかります。これは有料です。でも水を抜いているのに壊れたら無料です。

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