アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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町家探訪

洋館編 坂牛家(続)

(北海道小樽市)

荒木 玄関前はフラットなスロープになっていて、そのまま入れるようになっています。
 なかなか立派な玄関で、この戸の厚みも4cmぐらいあります。
白井 しかも、お洒落ですね。

白井 階段がきれいですね。
坂牛 小さいころ、私が階段の掃除係だったんです。
荒木 横の飾り棚がお洒落ですね。1,2段目までが階段と同じになっていて、玄関に床の間があるようです。

白井 階段が吹き抜けになっています。
荒木 そうですね。天井も高いです。コート掛けと腰板がうまくマッチしています。
白井 和洋折衷な感じですね。

荒木 この窓はベイウィンドーといって、日本語では張り出し窓といいます。この家のメインのようです。
白井 部屋の角度によって全部備え付けのソファーがあって、これだけでイイナーって感じです。

荒木 しかもガラスが結霜ガラスといって、今はなかなか手に入らないらしいです。割れたら大変ですね。
坂牛 古道具屋で探さないといけません。
白井 テーブルがちゃんと窓に角度に合わせてあります。

荒木 ユーザの方と設計士の方が大変コミュニケートされて。
坂牛 何回もおいでいただきました。こちらの要望も詳しくお伝えして、聞いていただいたと聞いています。
坂牛夫人 母から聞いた話では、建築中も毎日のように現場を見に来られたそうです。そこで、細かく指示なさって、帰りに必ず坂牛の家に寄って下さったのですが、食事を出すともみじの葉っぱ1枚でも大変ほめていただいたので、母は大変楽しかったと話していました。
白井 そういう施主さんと建築家の方のお付き合いって素敵ですね。
荒木 建物というのは施主と設計と施工とが一体にならないと、思いの建物を70年間住み続けてもまったく狂いの無いような家は出来にくいですね。

白井 明るい食堂ですね。
坂牛夫人 家の中で一番暖かい場所です。
白井 食器棚が大きいですね。
荒木 この向こう側が台所になっていて、下の部分は向こう側から使うようになっているんですね。両面から使えるようになっています。

白井 キッチンでまず目に付いたのがこの床下収納です。今は当たり前になりましたが、この時代からあったんですね。
坂牛夫人 冷蔵庫の無い時代に、ここに氷を入れて果物なんかを冷やしていました。冬は越冬のお野菜をいっぱい入れていました。
荒木 深いですね。1mぐらいありますね。冬になると中は2~3度高いんですか?
坂牛夫人 外に出しておくと凍ってしまうので、ここに入れておくと凍らないんです。

白井 和室の天井が高いですね。
荒木 洋室の天井と変わらないです。竿が猿頬になってて細く下が削ってあります。欄間も、つのかずらの組み方なんですが、なかなかいいですね。お洒落です。
 縁側も広いし、リビングとの間の襖もしっかりしているんですが、襖も障子も全部召合わせのところが溝になってて、細い隙間風が入ってこないようになっています。外も中も隙間風が入ってこないようになっているんですね。

白井 2階は景色がいいですね。
荒木 ちょうど天狗山が見えるように、コーナーにガラスが入っています。このガラスが外に開いて風が向こうから入ってくるように、引き寄せるようになっています。風も強いので水切りが高くなっています。4cmぐらい上がっていますね。

 また、この家はガラスが全部左右対称のパターンになっています。俗に言うお多福の組子が2枚で一つのセットになっています。またそれが、動かすと柄が変わるというのが気持ちいですね。

白井 今回の洋館は日本人にやさしいというか、テーブルの生活から畳まできれいに、自然に流れていて、そして無理が無い。しかもデザインはそこここが斬新で、いうなればきれいに日本語訳された外国の文学を読んでいるような、そんな楽しい気持ちになりました。こういった空気感こそが建築家が生み出した作品なんですね。

30分番組のため、一部省略して掲載しております。
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