アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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町家探訪

4.吉良川町町家 細木家・松本家

(高知県室戸市)

 高知県室戸市は強風多雨の地域として知られており、室戸岬は最大風速69.8メートル/秒の日本記録がある暴風と豪雨のエリアです。
 この室戸市にある吉良川町では、水切瓦、土佐漆喰の壁など風雨に対する工夫や知恵が今なお多くの家々に見られ、独特のたたづまいを見せています。また石黒と呼ばれる石垣が今も残り、家の外側からも台風に対する先人たちの向き合い方を学ぶ事ができます。
 吉良川町に強風多雨の地域特有の住まいづくりの知恵を訪ねます。

白井 今回は、室戸岬から西へ16キロほどのところにある、吉良川町にやってきました。吉良川町は明治時代に建てられた建物がいまなお残り、『浜から丘へ暴風を防ぐ建物が調和する町』と呼ばれています。
 さて、こうして歩いてみると、石を積み上げた塀が続きますが・・・

荒木 このあたりでは、「いしぐろ」と呼ばれているそうです。海岸に打ち上げられた自然のままの石を積み上げたものです。また、壁や軒に瓦が施されているのは、「水切瓦」といって、雨対策のものなんです。
白井 ということは、外からちらっと見ただけでも、風や雨に対する知恵や工夫が一杯ありそうですね。

白井 瓦のまわリが白いもので固められていますが、あれは漆喰ですか?
荒木 こちらでは土佐漆喰といって、京都や弘前のものとは違う漆喰で瓦の目地を留めています。こうして水切り瓦を2段3段と重ねることで雨水が壁を伝わって浸透しない工夫がされています。
白井 庇が長いですね。
荒木 長さ2m以上ありますね。雨が壁にかからないための対策だと思います。

白井 軒が低く、庇につらなっていますね。
荒木 「霧除け」というものです。庇が長くだせない場合、風雨対策で施されています。

白井 この格子に何か特徴は?
荒木 かつて商売をなさってた町家のしるしです。『商家の格子』ともいいます。
 こちらは、炭屋格子ですが、商売によって形もかわり、米屋格子・酒屋格子等いろんなものがあります。

白井 それでは、お住まいを拝見しましょう。細木さんは、吉良川町並み保存会の会長もなさっておられます。
 立派な戸棚がありますね。
荒木 そうですね。初代呉服商をなさっておられたと伺っておりますが、その名残です。
 天井も商品が積み上げやすいように、釘で押えない大和天井になっています。
 梁には堅い栂材がたくさん使われていますが、がっちりした構造になり、風対策に役立っています。
 手前に見えるのは、「つし2階」と呼ばれる物置への梯子です。

荒木 それでは2階にあがってみましょう。  つし2階とは、家の屋根裏の物置場をさす。
古くは床を竹すのこで貼ってあった。「づし」ともいう。

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