アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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7.外壁塗替工事の適正価格

 さて、外壁ですが、これまた値段の不透明な分野だと思います。
 一般に家を長持ちさせるためには、外壁の部分修理(ひび割れ等)を7年程度。全面塗替えを20年程度でされればいいといわれています(気候や外壁材の状況によって変動します)。
 まず、一般的なアクリルリシンを例にとってご説明しましょう。

A:アクリルリシンの場合(吹付面積100㎡)
名 称 数量 単位 単 価 金 額
養生 跡片付 1   40,000円
運搬 小運搬 発生ガラ処分 1   60,000円
作業用足場 架払損料 シート共 120 m2 1,200円 144,000円
高圧水洗処理 100 m2 300円 30,000円
クラック補修処理 3 ヶ所 15,000円 45,000円
シーラー処理(下地の密着が悪い場合) 100 m2 400円 40,000円
防水目止フィラー処理(色むら、造膜不良防止) 100 m2 500円 50,000円
アクリルリシン吹付 100 m2 2,000円 200,000円
雑費・諸経費 1   50,000円
合  計(A) 650,000円+税

 ごらんになられてわかると思いますが、アクリルリシンの場合『吹付け材料は全体の3割程度』しかありません。もちろん、アクリルリシンが安価だということに起因するのですが、足場を組んだりシートを貼ったり、下地処理をしたりというのに割とお金がかかりまです。

 足場はもちろん概算です。まわりに足場を組む敷地が空いているのであれば、簡単に済みます。一方、家がひしめき合っているところで、幅50cmしかないところに足場を組んだりすると、吹き付け材料が飛び散らないように養生するだけでも大変なことです。ここはほとんど人件費だと思ってください。
 ほんと、幅のないところに吹き付けするのは、職人さんがかわいそうなくらいです。養生したシートの中にどろどろになって吹き付けをする姿……。(ーー;)
 終わったらご苦労さんといってあげましょう!

 
 高圧水洗というのは、外壁についている汚れを落とし、塗装材料がつきやすくする処理のことです。シーラーは、下地が悪いときに上塗材料の密着度を高めるために施工します(あまり傷んでいない壁の場合は不要です)。フィラーは、アクリル樹脂エマルションの基材と特殊セメントの硬化剤をベースにした塗料のことで、水漏れ防止のためにかかせない下地処理のことです。
 このへんは、やってもやらなくてもほとんどできあがりではわからないので、いいかげんなところに頼むと手抜きをされるので要注意です。仕上がりは同じでも、下地処理が悪いと、早くヒビが入ったり、中に空気が入って皮膜が浮き上がったりします。錆び落ししないでペンキを塗るようなものというとわかりやすいでしょうか…。
 
 また、アクリルリシンの値段ですが、たまに折込広告で『1,000円/㎡』とかいう金額が掲載されてますね。ホント安いなあと思います。で、うちの出入りの塗装やさんに「うちの仕入れよりやすいやん!」と突っ込んだりするのですが、「とてもそんな値段ではできませんよ!!」と一蹴されます。(^^ゞ 施工面積が伸びたり、窓や樋などがなくて塗りやすい場合は安くなりますが、一般住宅では難しいです。
 広告は、それをエサにあとでいろいろと値段がかさみ、結局高くつこともあります。また、塗料というものは、薄くぬれば少ない材料費でできるのですが、後でトラブルを起こす元になります。
 そのため、あまりに値段を値切られると、2度塗りするのを1度で済ますとか、工賃にみあう仕事になってしまうので、心ある塗装店では、値切られるとできないといわざるを得ないこともあります。
 塗装屋さんも職人さんに労賃を払わないといけませんしね……。
 
 公共工事の時は、材料を現場に持ち込み「こんだけ使います!」という証拠写真だけではなく、現場監督が材料を間引きされないように、現場で栓を全部空けたりして対応します。
 もちろん、うちの場合塗装屋さんを信頼してますので、そんなイジワルはしませんが、あまりにも見積もり金額が安い場合は、気をつけられたほうがいいと思います。
 いずれにしろ、塗装はいい仕事かどうかすぐにはわからないものですから、頼まれるときは、

  1. 丁寧な仕事のできる業者
  2. 長いつきあいのできる信頼できる業者
  3. 見積もりのはっきりしている業者

を選び、後々になって後悔しないようにする必要があるでしょう。
 
 10年後、20年後になってもきてくれる業者がいいのです。
 外壁全面塗り替えは大きな仕事です。どんな業者でもやってきます。
 でも、10年後にヒビが入って補修するときには、そんなに大きな仕事ではありません。でも嫌がらずに愛想よく来てくれる、そんな業者を探されればいいのではないかと思います。


 アクリルリシンよりグレードを上げれば、当然工事費は値上がりします。
 実際には、アクリルリシンの場合、クラック追随性がなく、家が少しでも動いたらどうしてもクラックが発生します。
 せっかく塗り替えるのですから、通常は、今までよりひび割れしにくい材料を勧める事が多いです。
 弾性リシンだと、アクリルリシンと似た風合いに仕上がるため、違和感のない納まりになります。
 目の細かい聚楽調の素材は若干割高になります。

B:弾性リシンの場合(吹付面積100㎡)
名 称 数量 単位 単 価 金 額
養生~防水フィラー(上記の通り) 同上     400,000円
弾性リシン吹付 100 m2 2,500円 250,000円
雑費・諸経費 1   52,000円
合    計(B) 702,000円+税

 弾性シリコン樹脂にすると、更にクラック追随性がよくなります。ちょっとべったりした仕上がりになるので、和風住宅施工する場合は、注意が必要です。

C:弾性シリコン樹脂の場合(吹付面積100㎡)
名 称 数量 単位 単 価 金 額
養生~防水フィラー(上記の通り) 同上     400,000円
弾性シリコン吹付 100 m2 3,600円 360,000円
雑費・諸経費 1   60,000円
合    計(C) 820,000円+税

 建物を大切にされている方の中には、防水材を外壁に塗ることもあります。商品によっては、防水保証がついているものもあります。

D:弾性アクリルゴム系防水材の場合(吹付面積100㎡)
名 称 数量 単位 単 価 金 額
養生~防水フィラー(上記の通り) 同上     400,000円
弾性アクリルゴム系防水材吹付 100 m2 4,500円 450,000円
雑費・諸経費 1   68,000円
合    計(C) 918,000円+税

 大理石を吹き付けたような高級感のある外壁材の場合は更に費用があがります。300~1000ピッチに黒い目地が入りますが、そのための目地棒を入れる手間が追加で発生します。

E:セラミック石調塗料の場合(吹付面積100㎡)
名 称 数量 単位 単 価 金 額
養生~防水フィラー(上記の通り) 同上     400,000円
セラミック石調塗料吹付(1色) 100 m2 5,500円 550,000円
目地塗装 100 m2 1,500円 150,000円
雑費・諸経費 1   88,000円
合    計(E) 1,188,000円+税


  材料によって値段がかなりかわります。ただ、どの材料を使っても養生~フィラーまではまったく値段はかわりません(あたりまえですね!)。
 せっかくされるんでしたら、今、吹いている材料よりも、ワンランク上の材料にされることをお勧めします。

 また、外装工事の際、「せっかく足場を組むんだから、ついでにやりたい」工事があります。

F:オプション工事【外壁塗替の機会にやりたい工事】
名 称 数量 単位 単 価 金 額
トタン庇ファインウレタン塗 1 30,000円
水切ファインウレタン塗 1 30,000円
雨戸 1 50,000円
樋ファインウレタン塗 1 100,000円
木部塗装ナフタデコール 1 100,000円
雑費・諸経費 1   25,000円
合    計(F) 335,000円+税

 実際は建物によってさまざまなので、「例えば」の金額とお考え下さい。塗装するだけで、庇も樋も新品同様になり、見違えるようです。
 (さらに、樋のゴミ掃除もしてもらえば、なおGOOD!)
 薦められたら、素直にされたほうが後で後悔しないと思います。

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