アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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建築家が知りたい施主についての7つの情報

 設計事務所に頼む場合でも、地元の工務店に頼む場合でも、単に「家を建ててほしいのですが・・・」では、いったいどのような間取りにしたらいいのかわかりませんし、また、「昨日徹夜で図面を書いてきました」では、それに基づいて設計をしなければならないので、良い提案がしにくくなってしまいます。

 相手は住宅のプロなのですから、お客さんのニーズをつかみ、どのような家をたてたらいいのかというノウハウは十分持っているはず。全部自分できめないである程度おまかせするのが大切だと思います。
 たとえば、限られた敷地の中でできるだけ居間を広げようと思ったら、設計するにあたって、吹き抜けを作って一体感を出すとか、脱衣所とトイレを同じ部屋にするとか、いろんな案を考えます。ただ、そうした案が施主の好みにあうのか、生活スタイルにあうのかを見極めないといい設計はできません。
 家というものは、建築家だけでは、満足のいくものはできません。お客さんと協同作業をしてはじめて納得のいくプランができるはずです。
 建築家を信頼して任せているのですから、腹のさぐりあいなどせず、また、妙にへりくだったりもせず、自分の思っていることはできるだけ素直にぶつけるべきだと考えます。
 とりあえず、建築家の立場からみた、施主についての知りたい情報をまとめてみました。

1.家族に会いたい

 全員に会って顔をみながら話をするのが、何よりも大切です。
 住宅に対する考え方、家庭環境、年齢構成、性格等膨大な情報量になります。
 家族内の発言力、子そだての方針、ひとしれずこだわっている事など文章にしにくいこともわかります。
 もし、同居する予定のご両親があれば、その人たちの意見も伺いたいです。
 「たくさんで押しかけて申し訳ないかな?」などと思わず、家族そろって相談にいきましょう。

2.今住んでる家、乗ってる車

 ご自宅にお伺いさせていただくと、施主さんの考え方や困り事がわかります。今どのような家に住んでいて、どの辺が不満なのか。どんな生活観を持っているのか。荷物は何が多いのか。
 打ち合わせを兼ねて、施主さんのお住まいにお伺いすることはよくあります。
 もちろん、弊社にきてもらったり、現場で相談したりすることもありますが、お伺いすると、いろんなことがわかります。
 楽譜たくさんおいてあったら、「家族で演奏したりするのかな?」と考え、遮音を配慮した間取りを考えます。
 ボーイスカウトのポスターが張ってあったら、「アウトドアがすきなのかな?」と考え、そうした荷物を収納できるスペースを確保します。
 また、せっかく家を建てるなら、今よりも広いお風呂、今よりも使いやすいキッチンにしたいのでさりげなく寸法をチェックしたりもします。
 車も同じです。RVなのか、ファミリーカーなのか、外車なのかで、施主さんの考え方が垣間見えます。
 もし、自宅にきてもらったら、今の住まいの不満点を建築家にぶつけてみましょう! そうした不満を解消するのが建築家の役目の一つだと思います。

3.敷地の環境

 新築の場合でも、必ず現場調査をします。
 もし、和風の住宅を建てるなら、できれば近隣と意匠をあわせたほうが町並みが揃ってよいと思います。
 昔は、「町内の家は同じ大工さんが建てたので、景観を考慮して軒先をそろえた」と言われています。今でもそうした精神は守っていきたいです。周囲から浮いた目だった建物はあまりお勧めしにくいです。
 また、せっかく建てるのなら、「家が建たない見晴らしの良い方向にリビングを配置したい」のが人情です。
 隣が飲食店なら、夜はうるさいかもしれないので、寝室はできるだけ離します。
 市街地の場合隣近所と家がひっついていることもよくあり、窓やエアコン室外機の位置も配慮します。
 「家を買うときは近所を買え」ともいいます。近所付き合いを考えたお住まいにしたいですね。

4.家の様式

 どのような、スタイルの家をイメージしているのか・・・
 和風か、洋風か、和洋折衷か、内装への注力はどうか、木材にはこだわりはあるのか…
 「無垢材がいい」といっても、見えない下地まで全て無垢で施工しようとすれば高く付きますし、施工後も木があばれます。
 「伝統的な施工がいい」といっても、竹を編んで荒壁を作ろうとすると、工期もコストもかかります。
 自分がどこまでこだわっているのか、どこは妥協できるのかを正直に伝えたほうがよいと思います。
 イメージを伝えるために、住宅雑誌やウェブサイトに掲載されている写真があれば、頑張って切り抜いたり、印刷したりして、「こんな風にしたいの」と伝えるのも一案です。
 (初めての美容院でカットしてもらうときの要領ですね♪)

5.予算について

 「坪いくら」ではなく「総額いくら」準備しているのかを伝えましょう。
 相場がわからないかもしれませんが、わからないときはわからないと正直に伝えましょう。
 後になって「○○も予算内だと思ってた」という風にならないように、外構や空調や家具も含めてほしいかどうかもあわせて伝えましょう。
 「なんでもいいから安くしてくれ」でなく、いったいどこまでなら納得して払えるのかを自分なりに考えておいたほうがよいと思います。

6.大きな持ち物・たくさんある物

 ピアノ・スキー・ひな祭りの道具等、大きな荷物があれば、それを収納するスペースが必要になります。
 居室を沢山取ろうとすると、収納スペースが狭くなりますが、それではマンションの間取りと同じになります。納戸や押入は多め・大きめにしておき、引越し当初からそのスペースがいっぱいにならないように注意しましょう。
 カメラがいっぱいあれば、陳列棚を。奥様が鞄を集めるのが趣味なら、WIC内に鞄スペースを。ご主人が大学教授なら大きな本棚付書斎が欲しいところですね。

7.趣 味

 どんな趣味をもっているのか、余暇時間をどのように過ごすのか
 ダイビングが趣味なら、ウェットスーツを干す場所が欲しいです。
 フィッシングが好きなら、魚拓を飾るための壁面が欲しいです。
 ゴルフが上手なら、トロフィーを並べるショーケースが欲しいです。
 「敷地が狭いから、こんなこと言っても無理だろうなぁ」って考えず、恥ずかしがらずに、自分の希望を建築家に伝えましょう。
 無理かどうかは建築家に判断してもらえればいいのです。

 以上のようなところです。特に、予算については、見積書の端々をつつくのではなく、100万まけてほしいなら素直にそう伝えるほうがいい結果になると思います。「まける」=「利益を落とす」ということではなく、「まける」=「材料・手間を落とす」ということです。ですから、どこで値段を下げるのかは、建築家と一緒になって考えたほうがいい結果になると思います。
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