5.特別控除制度
住宅ローンを組まないで改修した場合でも、以下の3つの所得税特別控除枠が設定されています。
手間と費用と天秤にかけて、少しでも得になるようなら、積極的に活用されたらいかがでしょう。
住宅耐震改修 特別控除
家屋について耐震改修工事をした場合に、その工事にかかった一定の金額が所得税から控除される制度です。
住宅ローン控除の適用を受けていても、あわせて控除されます。
- 対象となる住宅の要件
- 住宅耐震改修の事業を定めた計画区域内の家屋(京都市では全域)
- 居住用家屋
- 昭和56年5月31日以前の耐震基準で建築された家屋(旧耐震基準)
- 現行の耐震基準に適合していない住宅
- 対象となる工事の要件
- 現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事であること
※ 京都市内の木造住宅の場合、財団法人 日本建築防災協会発行「木造住宅の耐震診断と補強方法」による一般診断又は精密診断で,改修による耐震診断総合評点が1.0以上であること
- 現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事であること
大変です。_| ̄|○
まず、総合評点が1.0以上というのが大変。
町家の場合、1.0以上にしようとすると、すごい量の壁を増やさなければならないので、ちょっと現実的ではないです。(実際、別枠の「京町家耐震改修助成事業では、0.7でもOKだけど、それすら大変・・・)
- 控除額
- 以下の(イ)又は(ロ)のいずれか少ない金額の10%相当額
(イ) 住宅耐震改修に要した費用
(ロ) 住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額 - 最高20万円まで
- 以下の(イ)又は(ロ)のいずれか少ない金額の10%相当額
この標準的な費用の額というのは、あまり気にしないでも大丈夫です。
たとえば、基礎の場合、1.62万/m2 壁の場合2.38万/m2 屋根の場合2.05万/㎡となっていて、よほど小さい家でない限り、あっという間に200万円を越してしまいます。
- 必要書類(京都市の場合)
- 住宅の所在地・建築年が確認できる書類
- 耐震診断書(施工前と、施工後)
- 付近見取図
- 配置図
- 平面図・立面図(施工前と、施工後)
- 耐震改修工事費見積書、清算書
- 工事写真
- 耐震改修工事費用の領収書
こうして、列記するだけで、すごく手間がかかります。
このなかで、「耐震診断書」の作成がすごく大変。施工前と後で2通必要なので、1通5万かかるとすると、これだけで10万円。
あとは、笑顔で書類をつくってくれる、良心的な現場監督さんとめぐりあえるかどうかがポイントです(^^)。
長期優良住宅の新築等 特別控除
住宅ローン控除のところでもご紹介した「長期優良住宅」を新築または取得(新築物件の取得に限る)して、居住した場合には、その長期優良住宅の標準的な性能強化費用に相当する額の10%がその年の所得税から控除される制度です。
住宅ローン減税とどちらか選ぶことになります。
一般に、住宅ローン減税の方がお得なので、『ローンを組まないで新築した人』向けですね。
- 対象となる住宅の要件
- 家屋の床面積が50㎡以上
- 床面積の1/2以上が居住用
- その年の合計所得金額が3,000万円以下
- 新築または取得してから6か月以内に居住
- 認定長期優良住宅であると証明されたもの
- 居住した年、その前年、その前々年に居住用財産を譲渡した場合の特別控除や買換えの特例を受けていない
- 控除額
- 認定優良住宅の標準的な性能強化費用相当額×10%相当額
- 最高100万円まで(1,000万円の強化費用の10%)
- 認定優良住宅の標準的な性能強化費用相当額×10%相当額
控除しきれない所得税額がある場合は、翌年分の所得税から控除できます。
ここでいう標準的性能強化費用相当額とは、
- 木造・鉄骨造 33,000円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 36,300円
- 上記以外の構造 33,000円
となっています。
たとえば延床50坪の木造住宅の場合、特別控除額は54.4万円となります。
バリアフリー・省エネ改修 特別控除
高齢者等居住改修工事(俗にいうバリアフリー工事)や省エネ改修工事を行った場合は、その工事にかかった一定の金額が所得税から控除される制度です。
耐震改修に比べると、基準はゆるやかで、受けやすい控除といえます。
ただし、リフォームローン控除の適用を受けていてたら、適用されません。
- 対象となる住宅の要件
- 家屋の床面積が50㎡以上
- 床面積の1/2以上が居住用。
- その年の合計所得金額が3,000万円以下
- 新築または取得してから6か月以内に居住
- バリアフリー工事の場合、基準を満たす対象者と同居(例:65歳以上等)。
これも、リフォームローン時と同様、増改築等工事証明書が必要です。
- 控除額
- 以下の(イ)又は(ロ)のいずれか少ない金額の10%相当額
(イ) バリアフリー改修(及び一般断熱改修)に要した費用
(ロ) バリアフリー改修(及び一般断熱改修)に係る工事の標準的な費用の額 - 最高20万円まで(太陽光発電装置を設置するときは最高30万円)
- 以下の(イ)又は(ロ)のいずれか少ない金額の10%相当額
でもね、これも頑張って書類作っても20万が上限。
太陽光発電で30万の控除っていっても、たとえば、3.5kwで300万位する。
う~ん・・・