アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

古材を使った銭湯in 京都

薪く炭くKYOTO 倉田麻里

 経営革新支援法適用企業になったおかげで補助金がでました。
 そのお金を利用し、古材バンクの会で、古材に関する調査をしていただきました。
 このレポートは、オマケで調査いただいたものを再録しています。大変おもしろいので、一読下さい。

 はじめに

 古材の利用方法の一つに、燃料としての利用があります。
 なかでも、京都府内に多く残る公衆浴場(銭湯)では、昔から燃料として利用されています。
 今回は、銭湯での利用状況を調べることで、古材の需要、調達状況、利点や問題点を把握し、古材のリサイクルの可能性を考えてみました。

1.公衆衛生組合にお聞きしました!

《薪の利用状況》
 京都府内の銭湯の数は240件ありますが、そのうち薪を燃料に利用しているところは9軒しかありません(平成14年)。
 薪を利用することに対しては消極的な銭湯がほとんどです。というのは、薪は輸送や保管場所の確保が困難ですし、手間を考えると重油の方が楽だからです。

《燃料の変遷》
 昭和30年以前はすべて薪で焚いていました。戦時中や戦後は、薪が不足したため、代替 燃料がなくお湯を減らすこともあったそうです。
 昭和30年以降、一時は石炭を利用するようになったが、徐々に重油に置き換わっていきました。
 最近は製材所がどんどん廃業していきますので、それと同時に薪から重油に変えた銭湯も多いようです。

《経営状況》
 京都府では、銭湯の料金が大人370円と決まっていることもあり、銭湯の経営は厳しいところが多く、ほとんどが家族経営で高齢化が進んでいます。
 公的機関からの補助金もありますが、公衆衛生という観点でボイラーの修理や交換に対して支給されるだけです。どの銭湯も十分な金額ではないと思っているようです。
 もちろん、薪を使用している銭湯への特別な補助金はありません。

 家庭風呂の普及と共に利用者は年々減り続けてきたが、近年は銭湯のよさが見直され、利用者は安定してきています。
 とはいえ、10年に1回程度、多額の費用を掛けてボイラーの改修を行なわなくてはならず、採算が合わず、ボイラーの寿命とともに廃業するところが続いています。
 大体、年間10軒のペースで廃業が続いています。

2.薪を使っている銭湯に聞いてみました!

 公衆衛生組合などで教わった、薪を利用している銭湯に聞き取りを行ないました。

京都府下で薪を使っている銭湯はココ!
名称
住所 備考
大黒湯 左京区山端柳ヶ坪町  
宮の湯 左京区一乗寺大新開町  
五色湯 中京区壬生東大竹町  
大宮湯 上る筋違橋町  
京極湯 上京区土屋町通り一条下る東西俵屋町  
亀の湯 上京区千本出水上る福島町  
稲住湯 下京区梅小路西中町  
笠の湯 上京区下立売千本東入田中町 現在は重油が主
                       (他1軒)

《薪の調達方法》
 工務店さん・木箱屋さん・製材所さん・解体業者さんと、銭湯により様々でした。みんな個人的なつながりで仕入れているようです。

《薪の種類》
 9軒中6軒が古材を利用していました。古材のなかでも、柱や梁など、ある程度太いものが薪に適しているそうです。ただ、近年は太い柱材などが不足しているため一部の銭湯は細かい材も利用していました。
 また、合板などの新建材、竹、塗装されたものは煙が多く出るため薪にはできないようです。

《薪を利用する量》
 お風呂の大きさにあわせて、1日あたり軽トラック半分から1杯くらい使うようです。
 燃料における薪の割合が100%のところが多かったのですが、冬場は薪が不足するため、重油と併用しているところもありました。

《灰の処理》
 有料ですが、薪を供給する業者が引き取っているようです。昔は近くの農家が引き取りに来ていたようです。

《薪を利用する苦労》
 重油に比べて薪を使うときには、様々な苦労があります。
 薪を適当な大きさに切らないとダメだし、掃除もしなければならない。材料の確保も不安定…
 持ち運びをするにも重いし、火事にならないように火の番もしなくちゃなりません。
 でも、身体を動かして仕事をするのは気持ちいい。それにごみの有効利用で社会に役立つし、燃料費の節約にもなる。続けられる限りは続けたいと考えてみえるようです。

 ただし、最近は家庭風呂が普及し、スーパー銭湯にもとられて、お客さんが減っていて寂しいようです。

《利用客の声》
 でも、薪でお湯をわかすと大変評判がよいのです。
 体の芯まで温まるので、『一度来たらやめられない』というお客さんも結構いらっしゃるようです。

3.京極湯での現地調査をしてきました!

 電話調査のときにと~っても協力的であった京極湯さんのところに実際に行ってみました。

 この銭湯さんは、山科にある工務店さんから薪を調達しているようです。工務店が薪を無料で輸送し、灰の処理もしているんです。
 薪にするのはもったいないような太い柱や梁(「ごろんぼ」とよんでいる)を主に使い、焚き付けにだけ細かい材を用いています。
 今も重油と併用できるボイラーを使っているが、全て薪でお風呂を焚いていて、当面重油に変える予定はないとのことです。

 実際には、次のような手順で作業をします。


1.道を挟んで向かい側にある駐車場に古材を積みおろす。
2.材をボイラーに入る大きさにチェーンソーで切り、ボイラーの横や奥にある倉庫に積む。
3.開店の二時間半前から焚き始める。
4.一時間おきくらいに薪をくべる。
5.閉店までボイラーのそばについている。
6.灰や、散らかった材の掃除も随時行なう。

 薪を利用する理由は、経済的性だけでなく、健康のためでもあるとおっしゃいます。
 銭湯の他の仕事は以前と比べて楽になったため、薪の代わりに重油を使えば、体を動かすことが少ない。薪を使うために体を動かすので、健康にいいと考えておられるようです。
 薪を利用する際の問題点は、チェーンソーで切る時に、チェーンソーの音が響いたり、風が強いときはそのときに出る引き粉が舞い散ったりすることだそうです。
 近所の街並みも変わってきているので、あまり騒音で迷惑をかけるわけにはいかないと気を使っている様子が伺えます。

 そこで! 聞き取り調査の後、実際に入浴してみました(^^ゞ
 お湯はちょっと熱かったが、まったりしていて体の芯まで温まる感じがしました。
 ボイラーで薪を焚いている様子を思い浮かべながら入っているとこころまで和んでいきます。
 お風呂で一緒になったお客さんと話すると、皆さん近所の方らしく、とっても和やか(^.^)
 調査に来たことを話すと、「ここは、薪で焚いているからお湯がいいよ~」と言ってくれました。

 倉田さんのレポートいかがでしたか?
 このレポートと無関係ですが、弊社でお風呂屋さんの改修をしたとき、『ケロリン』の洗面器を頂戴した事があります。
 やっぱり、銭湯にはケロリンですね!

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